トレードは高値で売れるうちに。時期は早いほどいい

 エンゼルスには契約延長のほか、もう一つ、トレードという選択肢がある。二刀流は他球団の複数の若手有望株と交換できる強力なカード。エンゼルスは再建へ、解体的出直しを図れる。

「時期は早いほどいいです。故障の可能性もあるし、来年のことは誰も分からない。今なら大谷は高値で、将来性豊かな好選手を多く取れます」(同前)

 7月までに成立しなければ大谷は今オフ、再び年俸調停の権利を手にする。前回(2020年オフ)は調停を寸前で回避し、2年総額850万ドル(8億9000万円)と、結果的に球団には格安の契約で決着した。

「今回は大谷サイドが途方もない金額を求めてくると思います。投打のスーパースター2人分の。最終的には今季の成績次第ですが、調停にもつれ込んでも、調停史上最高(ドジャースのムーキー・ベッツのレッドソックス時代の2700万ドル)クラスの年俸が目安になります。エンゼルスはトラウト、アンソニー・レンドンと大型契約していて、大谷で巨額の出費となれば他の補強がままならない。その前に大谷をトレードするというのは妥当な判断です」

二刀流はプレーオフでこそ真価

 既にメッツが、大谷のエンゼルス入りに尽力したビリー・エプラーGMの存在を理由にFA時の移籍候補に挙がっている。球団は、事業家のスティーブ・コーエン氏が一昨年に新オーナーとなり、豊富な資金力をバックに補強に積極的だ。

「トレード先としても有力と言えます。今季からナ・リーグでもDH制が導入されたため、二刀流だからDHがあるア・リーグが有利ということはなくなりました。選択肢が全球団に広がったことで、トレード成立の可能性は高くなったのではないでしょうか」

 最近では2017年、ダルビッシュ有(パドレス)がレンジャーズから、ワールシリーズ制覇の切り札としてドジャースに駆け込み移籍した。

「このままエンゼルスの状態が上がらなければ、球団はトレードを少なくとも模索はするでしょう。投打で大車輪の活躍が見込める大谷は短期決戦のプレーオフでこそ真価を発揮する気がします。資金力がある強豪球団は検討するはずです」

 あの試合がエンゼルスのユニホーム姿の大谷の見納めだった――。そんな日が突然、やってくるのか。昨年はオールスター戦をピークに二刀流への期待感に胸躍らせた7月は今年、緊迫感に包まれた日々になりそうだ。

(木嶋昇/Webオリジナル(特集班))