「欧州や南米出身の選手とは違う眼で見られる理不尽」岡崎慎司がドイツで味わった“アジア人は下に見られている感覚” から続く

 2015−2016年のサッカーシーンで世界を感動の渦に巻き込んだのが、イングランド中部のレスターシティのリーグ優勝だった。前年度は残留争いを戦った弱小クラブが世界最高峰の舞台の王者に輝いた。その偉業を成し遂げたチームの一員に岡崎慎司の名前がある。(全3回の2回目/ #1 、 #3 を読む)


 

◆◆◆

僕がミスすると怒鳴るけど、自分が同じことをしても素知らぬふりですから

――30歳目前の選手がプレミアリーグへ移籍を果たすというのも異例だったのでは?

岡崎 そうですね。でも、当時のレスターはそれほどレベルの高いクラブではなかったので、チャンスが巡ってきたんだろうと考えていました。実際、チームの目標は残留だったと思います。

――それでも、開幕から先発出場し、第2戦では初ゴールも決めましたね。

岡崎 好調に滑り出したチームに自分の居場所を確保するうえで、今のチームに何が足りなくて、それを補うために僕に何ができるだろうかと考えました。それが前線からボールを追いかけて、守備をするハイプレスだったり、中盤でセカンドボールを拾ったり、守備陣が奪ったボールを前線へ繋ぐ仕事でした。それは自分にとっては得意なプレーだったので、それをやりながら、自分のゴールを目指そうと思ったんです。

――そんな岡崎選手のプレーには監督が何度も賛辞を送っていました。

岡崎 でも、僕自身は監督が「献身性とか守備力」ということには、危険信号を感じていました。そう言われることに安心はできなかったですね。

――というのは?

岡崎 僕はフォワードなので、ゴールを決めなければ、結局簡単に交代させられてしまうから。実際、先発出場しても途中交代させられることが続きました。だから、ずっと足掻いていましたね。やるべき仕事をしながらも、ゴールを諦めたくはなかったから。

――監督の要求に応えているだけではダメだと。

岡崎 そうですね。タスクを達成するのは最低限の仕事です。安定したプレーをするのも同じ。その先に何ができるのかを示さないと平凡な選手で終わってしまうから。

――リーグ優勝という華やかな結果を手にしても、満足感はなかったと。

岡崎 喜びは当然あったし、達成感もありました。実際、Jリーグでも優勝した経験がなかったから、初めてのリーグ優勝だったので。だけど、現状に疑問を抱かないとそこで止まってしまうという危機感も同じように抱いていました。

――翌シーズンには新たな戦力が補強され、ポジション争いも熾烈になりました。

岡崎 はい。身体能力が高くて、僕にはない武器を持つストライカーも加入しました。ヨーロッパの第一線で活躍する選手は、自分の特長を活かすことが上手で、自己主張も激しい。僕がミスをしたり、パスを出さないとメチャクチャ怒鳴るけれど、自分が同じことをしても素知らぬふりということもあります。

――言い返したりしなかったんですか?

岡崎 ドイツ時代はすべてを黙って受け止めようと思っていましたが、レスター時代はその考えを改めました。言い返すこともあったし、シュートを外したときなどは、チームメイトからの罵声を浴びる前に、僕が僕を叱責するように怒鳴ってみたり……。それでうまくいくこともあれば、ストレスを感じることもありました。自分らしくない行動をとるわけですからね(笑)。