試合終了を告げるホイッスルがハリファ国際スタジアムに響き渡る。その瞬間、僕は隣の見知らぬ日本人と熱い抱擁を交わした。前の席で応援していた年配の女性は感極まって涙を流していた。

 カタールワールドカップのグループステージ初戦、日本代表は強豪ドイツ代表を2-1で撃破した。日本サッカー史に刻まれる「ワールドカップ優勝経験国を相手にした初の逆転勝利」という歴史的瞬間に僕はドーハの現地で立ち会えたのだ。まさに「歴史の証人」になれた気分だ。

日本の同点弾でスタジアムの雰囲気は一変

 4万5000人超収容のスタジアムには、日本代表サポーター2割、ドイツ代表サポーター2割、その他の観客6割といった割合で、ほぼ満員の入り。当日の観客動員数は4万2608人と報告されていた。

 前半はドイツ代表のペースだった。スコアが動かない状況が続いた時、中立的な観客がしびれを切らして、ウェーブを扇動した。ワールドカップではよくある光景だ。

 前半33分にPKでドイツに先制を許してから、過半数を占める中立サポーターはドイツを応援するようになった。もっと点を取れと言わんばかりに、ウェーブが延々と続く。

 後半立ち上がりから日本代表は布陣を変えて攻勢に出る。後半30分に堂安律が同点弾を決めると、スタジアムの雰囲気は一変した。スコアが動かない状態に飽きてウェーブを繰り返していた中立的な観客らが、ウェーブをぴたりと止めて、一斉に日本代表の応援に加勢した。

 日本ゴール裏の「ニッポン」コールにスタジアム全体が呼応する。まるでスタジアムが日本のホームゲームのような雰囲気になったのだ。

 その一変した雰囲気に日本代表イレブンは背中を押されたのだろうか。後半38分に浅野拓磨が劇的な逆転弾を決めると、スタジアムは熱狂の渦と化した。

 中立的な観客を完全に味方につけた日本代表はその後、危なげなく逃げ切って歴史的勝利を勝ち取ったのだった。

出国前の手続きは過去最高レベルの難易度、ホテル不足も深刻

 サッカーの試合を90分見るだけなら、ABEMAアプリでスマホ片手に見るのがよっぽど手軽だし楽ちんだろう。

 スタジアムで見たって、ピッチの反対側で起きているプレーはよく見えないし、まして異国の地で開催される国際大会なんて、現地に行くまで乗り越えなくてはいけない障壁が数多く、尋常じゃない手間とお金がかかる。