強豪ドイツ・スペインを破り、見事「死の組」を突破したサッカー日本代表。予選突破は絶望的と思われた大方の予想を裏切り、立て続けにジャイアントキリングを決めた日本サッカーに国中が歓喜に湧いた。

 運命の一戦となったスペイン戦では、深夜にも関わらず渋谷には多くのサポーターが集まり、始発の電車が動くまでスクランブル交差点を中心に大騒ぎする様子が話題となった。


渋谷駅前の厳戒態勢 Ⓒ文藝春秋 撮影・細尾直人

 そして、クロアチアを相手にした決勝トーナメントの初戦の5日深夜。熱心なサッカーファンたちは氷雨そぼふるなか渋谷に詰めかける。

 PK戦までもつれ込んだ熱戦の結果、惜しくも初のベスト8進出とはならなかった。それでも最後まで勝利を願い続けたサポーターたちの「アツい一夜」の様子をお届けする。

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 12月5日23時。

 北から冷たい風が吹く雨夜の渋谷には、人影がまばらだった。すでに終電を迎えつつある時刻とあって、駅に向かって歩く人が多い。しかし、これから始まる一戦にどこか高揚した空気が流れている。JR渋谷駅の改札ではほろ酔い気分の人々が「ブラボー! ブラボー」と叫び、日本コールを始めている。

渋谷の街に響いた「ブラボー」

 そんな中、駅から反対の繁華街に向けて足を運ぶ人たちがいた。彼らは「W杯観戦できます!」といった看板を掲げたバーやクラブの中に消えていく。センター街の一角では、店舗の外まで人があふれかえるバーがあった。彼らは酒を片手にサッカー日本代表対クロアチア代表のキックオフを今か今かと待ち構えていた。

 とあるバーの中には、20人入れば満席という店舗面積に40人以上が詰めかけ、座る椅子も無いまま立ってテレビ画面を見つめる者もいた。普段はスポーツ中継をしないクラブもこの日ばかりは店内のモニターで試合の様子を映していた。

 日本がシュートをするたびに歓声や拍手が巻き起こり、クロアチアのチャンスには悲鳴が上がる。ファンの熱気が最高潮に達したのは、やはり前半43分の前田大然選手の先制ゴールだった。

「よっしゃあ!」「いけるぞ!」と拳を振り上げ日本コールを始める。指笛が鳴り響き、記者も近くに座っていた男性グループからハイタッチを要求され、快く応えた。