1993(平成5)年、奈良の法隆寺とともに日本初のユネスコ世界文化遺産に登録された姫路城(兵庫県姫路市)。名実ともに、日本の宝、世界の宝といえるでしょう。築城技術が最高峰に達した時期に築かれた、城の中心部がほぼ現存。建造物の多くは破却されてしまいましたが、それでも城内には天守を含めて国宝8棟、重要文化財74棟、計82棟の建造物が江戸時代から残っています。

 中でも、世界中の人々を魅了する壮麗な天守は、究極の造形美です。千鳥破風や唐破風などの装飾付きの屋根が絶妙なバランスで配され、壁面を華やかに演出。破風の細部に施された厳かな装飾が、独自の重厚感を醸し出しています。


西の丸から望む、定番のアングル。

 天守群は、8棟の国宝で構成されます。大天守と3棟の小天守(乾小天守・東小天守・西小天守)を四隅に置き、それらを4棟の渡櫓(イ・ロ・ハ・ニの渡櫓)がつなぐ形式です。8棟すべてが、現存で国宝。お互いを引き立たせるように重なり、どの角度から見ても美しく見えます。お気に入りの角度を探すのもおすすめです。

こだわりの素材と伝統的な「屋根目地漆喰」

 姫路城の美しさを際立たせているのが、漆喰の白壁です。太陽の光を受けると繊細な輝きを放ち、独特の趣きを見せます。白漆喰総塗籠の白壁は、吸い込まれるような透明感もありながら、独特の輝き。化学塗料では表現できない、生命を宿したような輝きが美の秘密といえるのでしょう。

 2015(平成27)年3月に完了した大天守保存修理工事で、屋根瓦が全て葺き替えられ、壁面の漆喰が塗り直されました。漆喰の素材選びから配合、塗り方にいたるまで、すべての工程がこだわり抜かれ、かつての輝きが再現されています。

 漆喰塗りは工程が複雑で、膨大な時間と高い技術を要します。場所に応じて大きさや形状の異なる鏝(こて)が用いられ、なんと100種類以上の鏝が使い分けられたそうです。とくに、壁面の細かな彫刻や懸魚(げぎょ)、蟇股(かえるまた)などの塗り直しには職人技が光ります。木彫りの下地を傷つけないように古い漆喰を丁寧にはがし、その上で漆喰を均一に塗り直す、気の遠くなるような緻密な作業です。