「ちっとも言うことを聞かないし、家で大騒ぎしているし、もうたまらない!」新型コロナウイルスによる自粛生活が長期化し、子どもへのイライラが増している親も増えています。『 小児科医が伝える オンリーワンの花を咲かせる子育て 』を上梓した現役医師の松永正訓氏が、発達障害を抱えた子どもたちと多数向き合ってきた経験から、「育てにくい子」との接し方をアドバイスします。


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軽度の発達障害の傾向は増えている

――育児に悩むママたちからはどんな相談が寄せられていますか?

松永 何に悩んでいるかは各家庭でさまざまですが、一番は親の気持ちに思うように応えてくれなかったり、問題行動を取る子への対応に悩みが多いです。クリニックでは毎年のべ1万7000人ほどのお子さんを診察していますが、現場の実感としてはここ5〜6年、軽度の発達障害の傾向のある子が非常に増えました。

 発達障害は、医学的に定義すると自閉スペクトラム症とADHDと学習障害の3つがありますが、それぞれ独立した症状というよりは、この3つの円が重なり合って、ひとつの「育ちづらさ」が子どもの中に形作られています。たとえば、自閉スペクトラム症が5段階のうちの2点だったら、ADHDは3点、学習障害は1点とか、それぞれの要素を合わせ持っているイメージです。

 お子さんによってその濃淡はさまざまですが、軽度であってもこの3要素があると、親からすると、いわゆる「育てにくい子」と感じるわけです。

「この子は何を考えてるのか分からない」

――具体的には子どもがどんな行動に出るのでしょうか。

松永 たとえばママと手をつなぐのを嫌がるとか、抱っこすると反り返ってイヤイヤするとか、あとは公園に行っても親を無視して勝手にどんどん歩いて行ってしまうとか、そういう親子間のコミュニケーションの取りづらさに現れます。「この子は何を考えてるのか分からない」という声をよく聞きますね。

 お友達と上手に遊べないとか、列を守れないとか、何かの遊びにすごく執着して、やめさせようとすると癇癪起こして爆発するといった、社会性のトラブルも多く見受けられます。そういう子の親に対して私は、「発達が上手じゃない部分がありますね」という言葉で説明しています。言葉の遅れをともなう重症の子なら診断もつきやすく専門的な支援が必要になりますが、こうした「軽い発達障害の傾向があって、育てにくくて手がかかる子」が増えていて、親もストレスを抱えているんです。