「スパイスからカレーを作る男性はどうして面倒くさいんですかね?」

 という質問を受けたことがあります。

「スパイスからカレーを作る男性は面倒くさいんでしょうか?」という質問じゃないってとこがポイントです。「面倒くささ」は既定の事実として前提なんです。

 この「面倒くささ」とはいったい何なんでしょうか。カレーに限らず、音楽でも映画でもアニメでもなんでも、趣味として没頭しているマニアは常にある種の面倒くささを纏う、というのは確かにあるような気がしますが、スパイスカレーを作る男性に特有の面倒くささというものはいったいどういうものなのでしょうか。

「スパイスカレー」、2つの定義

 さて今更ですが先ず、スパイスカレーとは何か、という事に少し触れておきたいと思います。

 そもそもカレーとは全て何らかのスパイスを使う前提の料理なので「スパイスカレー」という呼び方自体が無意味なものである、という批判も根強く、確かにそれはそれで正論だとは思います。しかしこれについては、「スパイスカレー=(単体の)スパイス(を中心にして作られる)カレー」という解釈は既に一般的なものになっていると考えて良いのではないでしょうか。

 むしろややこしいのは「スパイスカレー」には、広義と狭義、2つの定義があるという点ではないかと思います。広義の定義の方は、上記の通り「単体のスパイスを中心として作られるカレー」という事になり、そうなると当然そこにはインドカレーやネパールカレー、パキスタンカレーなども入ってきます。そして狭義の定義はそういった特定地域の伝統的な料理をそこから除いたもの、という事です。


筆者・稲田俊輔さんが経営する人気店「ERICK SOUTH(エリックサウス)」のカレー(オンラインでも 販売中 )

 この2つの定義はどう使い分けるべきか、いやそもそも恣意的に使い分けていいのか、という問題はたいへんややこしいとは思うのですが、ここではあえてその「広義の定義」の方で話を進めています。この事に抵抗のある方も少なからずいるとは思いますが、いったんここは大目に見て下さい。

 ……と、ここまで書いてふと思ったのですが、このエクスキューズは明らかにカレーマニアに向けたものであり、こういう説明を挟まないと話が先に進められないというのは、やはりカレー男は面倒くさい……のか?!