数ある道路の中でも、最高峰に君臨する国道。国道といえば、複数の車線があって交通量が多く、走りやすい快適な道路を想像する方が多いだろう。路線によっては、大半が高架化され、高速道路と見分けがつかないような国道も少なくない。

 しかし、そんなイメージとは裏腹に、整備が行き届いていない国道も少なからず存在する。センターラインが無く、対向車とすれ違うことも困難な細い道が、右へ左へとカーブを繰り返す国道。ハンドル操作を誤れば崖下に転落するため、一瞬も気を抜けない国道。国道だけに舗装こそされているが、そうした道でのドライブは、ときに“命がけ”になることもある。そのような酷い国道のことを、物好きな人々は親しみを込めて“酷道”と呼ぶ。私もそんな酷道ファンの一人だ。


日本屈指の“酷道”である国道157号。「落ちたら死ぬ!!」の看板が全てを物語っている(現在、この看板は撤去されている)

 日本の国道は、1993年に450号から507号までが追加されて以来、1本も増えていない。国の根幹となる道路整備は既に終了したという位置づけで、今後も増えることは無いだろう。そうした状況の中、既存の国道は徐々に整備が進められているので、“酷道”は年々数を減らし続けてきた。このままでは、いずれ消滅してしまう運命にあるのかもしれない。

 しかし、2018年に驚くべきニュースが飛び込んできた。酷道が新たに誕生したというのだ。

“平成最後”に誕生した酷道へ!

 それは、国道416号の福井〜石川県境、大日峠区間だ。ここは、これまで国道として繋がっていなかった。通常、こうした分断区間を新たに開通させる場合、たとえ前後の区間が酷道の状態であったとしても、今後整備されることを想定し、高規格で造られることがほとんどだ。

 しかし、この大日峠区間は、酷道の状態で2018年に新規開通したという――。

 開通直後の週末、早速私は福井県大野市から北へ向かって、国道416号を走ってみた。

 国道の風景は、市街地から郊外へと移り、最後の集落を抜けて山間部へと入ってゆく。センターラインが消え、緩やかな酷道の状態になったが、しばらく走っていると舗装が真新しくなった。目的の新規開通区間に到着したのだ。