「文藝春秋」3月号の特選記事を公開します。(初公開 2020年2月15日)

 会社法違反(特別背任)などで東京地検特捜部に起訴された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(65)は、昨年12月29日から30日にかけて東京の監視付き自宅をひそかに離れ、レバノンの首都ベイルートに逃亡した。

 それから1週間もしないうちに、アメリカの大手紙「ウォールストリートジャーナル」や「ニューヨークタイムズ」、イギリスの「フィナンシャルタイムズ」などで、ほぼ一斉に「逃亡作戦」の全容は早々に報じられたのだった。


逃亡して日本批判をするゴーン ©AFLO

 出国したのは関西国際空港。音響機器の搬送に用いる大型の黒い箱のなかにゴーン被告を隠し、プライベートジェット専用の施設「玉響」を通じて保安検査と税関検査をすり抜け、トルコ・イスタンブール経由でレバノンへ――という詳細が明らかにされたのである。

リークされた情報すべてが嘘である可能性も

 ゴーン被告が隠れたとされる「黒い箱」も早々に特定されて写真が流れ、さらには作戦を実行したとされる「元米国特殊部隊グリーンベレー隊員、マイケル・テイラー」という人物の名前までが大々的に報じられた。

 これに敏感に反応したのが、米国特殊作戦軍(SOCOM)の関係者たちだ。

「1月5日付のウォールストリートジャーナル(電子版)が『計画を知る関係者によると』と明記しているとおり、これらの情報は当事者がメディアにリークしない限り、明らかにされない事実ばかりです」

 ではなぜ、このようなリークがおこなわれたのか?

 ある元グリーンベレー関係者は、ダーク・ビジネスにおける「宣伝効果」を指摘する。ゴーン被告の脱出を成功させたと大手メディアに報じられれば、この上ない宣伝効果が期待できる。

 だが一方で、「リークされた情報すべてが嘘である可能性」が特殊部隊出身者のネットワークで指摘されているという。