慰安婦問題や竹島、徴用工裁判に対する韓国の反日歴史観を実証的に批判した『反日種族主義』(文藝春秋)は、2019年の発売以降、40万部のベストセラーとなった。刊行直後から韓国内で巻き起こった批判に応える形で、李栄薫氏らが再び筆をとった 『反日種族主義との闘争』 (文藝春秋、2020年9月17日発売)からエピローグの一部を特別公開する。


『反日種族主義との闘争』(文藝春秋)

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 2018年10月30日、この国の大法院は、呂運沢(ヨウンテク)など四名の原告が日本の新日鉄住金(現日本製鉄)を相手に起こした訴訟において、同会社は彼らに1億ウォンずつ慰謝料を支給せよ、という判決を下しました。原告4名は1943〜45年、日本で新日鉄住金の元の会社である旧日本製鉄の労務者として働きました。彼らは、会社から賃金をきちんと払ってもらえなかった等の“反人道的不法行為”を受けた、と主張しました。大法院は原告たちの肩を持ちました。肩を持ちながら、韓国内にある新日鉄住金の資産を差し押さえました。この事件で両国の関係は一挙に、以前には見られなかった緊張状態に入りました。日本政府は韓国を戦略物資貿易のホワイト国家リストから除外し、戦略物資の輸出に個別許可制を導入しました。韓国政府は、日本との軍事情報協定ジーソミアを破棄する方針を明らかにしました。このときは米国政府が強力に介入し、危機を免れましたが、両国関係は今もなお、いつ破裂するか分からない危機状態にあります。

 私は大法院の判決後、判決文を手に入れ読んでみました。そうしてみて、原告四名が主張している相当な部分は信頼できない嘘である、と判断しました。いささか性急に見えるかも知れませんが、私がそのような判断を下したのは、既に10年前に37名の労務者をインタビューし、原告の四名と類似した主張と多く接し、それらの相当な部分が嘘であるのを実感したことがあったからです。それで前回の『反日種族主義』の中で、我が高邁なる大法院の判事の皆さんに、「嘘の可能性の高い主張を検証しない裁判は果たして有効なのか?」と訊いたのでした。