撮影のタイミングと新型コロナウイルス

――ベトナム人の女優さん3人は、日本に初めていらっしゃったんでしょうか?

藤元 そうです。この映画のためにパスポートを取ってもらって。

――今回、取材や撮影に新型コロナウイルスの影響はありました?

藤元 当時は、まだコロナ騒動がはっきりとは、始まっていなかったんです。取材は2019年の5月から始めて、実際の撮影は2020年の2月に行いました。

――すごくギリギリのタイミングですね。

藤元 はい。撮影を横浜からスタートしたんですけど、ちょうどダイヤモンド・プリンセス号が泊まっていた頃。それから2月の末くらいまで撮影していたので、本当にギリギリでした。これが2週間くらい遅れていたら、もうキャストがベトナムに帰れなくなるところでした。

 クランクアップ前日くらいに、北海道で緊急事態宣言が出たんです。ちょうど、青森からフェリーに乗って北海道へ行くシーンを撮影してたので、ちょっと怖かったですね。そんなふうにギリギリでしたが、撮影スケジュール上、コロナはなんとか回避できました。

――作品の舞台である雪国の漁港は、その辺りだったんですね。

藤元 ロケ地は青森の外ヶ浜町ですが、作品の設定上は「どこかの北国」ですね。具体的には決めていないんです。

――北国の漁港で働く外国人のかたは多いのでしょうか。肉体的にきつい仕事ですよね。

藤元 男性が多いですね。映画にも少し登場する「船に乗ってる側」の人が多いです。

――年齢、世代はどれくらい?

藤元 20代〜30代ですね。30代前半まで。30代後半は、僕はあまり聞いたことないです。

――日本に来る実習生も、必ずしも全員が劣悪な環境というわけではなくて、理不尽な思いをして苦しんでいるかたは、いわばハズレを引いた人、といったことも耳にしますが、実際そうなんでしょうか?

藤元 そうですね。そもそも「逃げよう」と思って日本に来る人はあまりいないです。まあ中には、観光ビザで来ちゃってそのまま日本にとどまってる、みたいな人はいるかもしれないですけど。基本的に実習生は「逃げたい」とは思っていないので、本当に運の良し悪しでしょうね。

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 後編では、監督が取材を行なった外国人失踪者が駆け込むシェルターのこと、さらに妻がミャンマー人である監督に、現在不安定なミャンマーの情勢についてもうかがっています。( #2 に続く)

INFORMATION

『海辺の彼女たち』映画情報

【STORY】技能実習生として来日した若きベトナム人女性のアン、ニュー、フォンの3人は、ある夜、搾取されていた職場から力を合わせて脱走を図る。

 新たな職を斡旋するブローカーを頼りに、辿り着いた場所は雪深い港町。不法滞在となる身に不安が募るも、故郷にいる家族のためにも懸命に働き始める。しかし、安定した稼ぎ口を手に入れた矢先、フォンが体調を壊し倒れてしまう。アンとニューは満足に仕事ができないフォンを心配して、身分証が無いままに病院に連れて行くが……。
https://umikano.com/
5月1日(土)よりポレポレ東中野ほか 全国順次公開
©2020 E.x.N K.K. / ever rolling films

来日し「ハズレ」を引いた外国人は命を落とすことも…在留外国人、そしてミャンマーのために、今私たち日本人ができること へ続く

(市川 はるひ)