――スリランカがデフォルトに陥りました。やはり中国の「一帯一路」政策の犠牲者でしょうか?

大使:スリランカだけでなく、パキスタン、ラオス、エチオピア、ザンビアなど巨額の債務に苦しむ国々をみると、ひとつのパターンが浮かび上がってきます。いずれの国も、中国から押しつけられた巨額の負債によって押しつぶされそうになっています。結果として、これらの国々は経済的成長やポテンシャルの芽を摘まれてしまっているのです。どの国でも状況は似通っています。

 なぜこんなことになってしまったのか。最大の理由は、これらの国々の政府が悪い決断を下したことです。また中国は透明性と説明責任において、国際的な基準で行動していない。これが問題の本質です。


習近平・中国国家主席 ©時事通信社

中国に「一度騙されたら次はない」

 では、中国が世界の貿易市場の枠組みに参加するには、どのような条件をクリアする必要があるのか? これについても、エマニュエル大使の答えはきわめて辛辣だった。

大使:アメリカでは「一度騙されたら次はない」といったような意味合いの表現を使うことがあります。

 中国がWTOに加盟して我々はどのような教訓を得たでしょうか。中国は守るべきルールを全て破りました。中国のような経済的スパイ活動を行う国は他に存在しません。中国のような知的財産の窃盗を行う国もありません。市場原理に逆らう形でルールを変え、自分達だけがトクをするようなことは、中国以外の国はしていません。

 これらを踏まえれば、世界の貿易市場の枠組みに中国を迎え入れることや、また中国がそれらのルールを守ると期待することは現実的ではないと思います。

 でも、これは中国自身が下した決断です。他国はルールを守り、中国を迎え入れようとしましたが、中国はその信頼を裏切るという決断を自ら下したのです。

 私が議員だった頃、大工用の脚立を製造している企業が選挙区にありました。しかし、中国はその企業の特許を盗み、中国政府の補助金を使ってコピー商品を格安に大量生産して販売したのです。私はその企業を助けようとしていたのですが……。このように中国は知的財産、テクノロジー、ビジネスモデルを盗むのです。そんなことをしておきながら、なぜ友好国がいないのかわからないといったことを言っているようですが、それは幾度も信頼を裏切ってきたからにほかなりません。