開催まであと半年に迫った韓国・平昌冬季五輪、さらに2020年開催の東京五輪に向け、中小企業による競技用具の技術開発が進んでいる。加工精度などで世界トップレベルにある日本のモノづくりを国際的にアピールできる貴重な場となるだけに、モノづくりの現場は早くも世界を見据えた戦いが始まっているようだ。

 大学と連携しカヌー

 東洋大学は、金属加工の浜野製作所(東京都墨田区)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)加工のテックラボ(同多摩市)と共同で、東京五輪での日本代表選手の採用を目指し、国産のカヌー「水走(MITSUHA)」の開発に取り組んでいる。1日、その実験艇が完成し、報道関係者に公開された。

 生物の機能や構造の特徴を生かすバイオミメティクスや流体力学といった大学の研究成果と中小企業の技術力を組み合わせ、小柄な日本人でも操りやすい船艇に仕上げた。船首部分は波の抵抗を減らすためにカワセミのくちばしに似せた形とし、船底部分は凹凸を付けて、船を前進しやすくしたという。

 東洋大は16年5月に東京東信用金庫と連携協定を結び、同信金などを通じて町工場の紹介を受けた。開発にあたって日本カヌー連盟、東京都カヌー協会も指導者や選手の立場から助言を得た。試乗した同協会の藤野強理事長は「非常に回転性に優れ、操りやすい」と実験艇を高く評価した。

 プロジェクト「国産カヌー水走開発コンソーシアム」の研究開発責任者である理工学部生体医工学科の望月修教授は「スポーツの世界で、工学的な見地から大学がどう関わり、貢献できるかを示したい」と語った。

 一方、既に開発が大詰めを迎えているのが、東京都大田区の中小企業が開発を進める「下町ボブスレー」。ジャマイカ代表チーム向けのそりに使われる約300個もの部品加工が7月から本格化している。9月上旬には新型そりが完成し、ジャマイカ代表チームに引き渡される。

 リオでは卓球台

 これまでも五輪には、数多くの日本の中小企業が“参加”している。16年のリオデジャネイロ五輪で使われた卓球台は、卓球台製造の三英(千葉県流山市)が開発したもの。「Infinity」(インフィニティー)の商品名で、X字型の脚部が印象的だ。この脚部は東日本大震災で被災した岩手県宮古市産の木材を使い、高級家具メーカーの天童木工(山形県天童市)が製作を手がけた。

 また、ゴム製品製造のミカサ(広島市西区)が手がけるバレーボールは、国際バレーボール連盟が主催する、20年までのバレーボールとビーチバレーボールの大会で唯一の公式試合球として使用されることが決まっている。

 選手だけでなく、日本の中小企業にとっても、五輪はひのき舞台。大会の表からも裏からも支えることで、世界での存在感を高めている。