経団連が、従業員に対する企業の介護支援について、実態調査を行うことがわかった。来春にも各社の制度や介護休暇取得状況、先行事例などをまとめた報告書を策定する。高齢化に伴う介護離職が社会問題となるなか、先行事例をまとめ、経済界としての支援策を強化する考えだ。

 経団連は会員企業を対象に調査を行い、介護支援に対する現状を把握。その上で、優れた取り組みなどの事例をまとめ、産業界が個々の実情にあった制度を導入する際のモデルケースとして示す方針だ。

 政府は2016年に閣議決定した「骨太の方針」で、「介護離職ゼロ」を打ち出した。また、改正育児・介護休業法では、介護休暇を最大3回まで分割して取得できるようになるなど、環境整備は進みつつある。

 約800万人とされる団塊の世代が、25年に75歳の後期高齢者となる「2025年問題」を抱え、国内では要介護者の急増が見込まれる。企業にとって、介護離職を防ぐ支援策は焦眉の急だ。

 第一生命保険は介護休暇の取得可能日数を通算730日とし、取得回数の制限を設けないなど、改正育児・介護休業法を上回るよう制度を拡充した。また、東京ガスでは、介護認定までの煩雑な手続きを代行し、従業員を支援する制度の導入を検討している。

 社内の制度整備だけでは不十分だとして、資生堂は今年から、外部の専門家を招いた介護セミナーを始めた。すでに法令を上回る介護支援制度を設けているが、従業員の認知が十分ではないと判断し、今後も定期的に開催するという。

 東京商工リサーチの調査によると、企業の7割が「将来に介護離職者が増える」と考えており、自社の介護支援策が不十分だと考えている企業も約7割にのぼった。特に人手不足が大きな経営課題となる中小企業では、介護離職の増加が企業の存続に関わる深刻な問題となりかねない。

 会員の多くを中小企業が占める日本商工会議所は、「介護支援が大きな問題になっている」との認識を示した。