今年でデビュー10周年を迎えるSEKAI NO OWARI。6月24日にシングル『umbrella / Dropout』の発売を控え、6月1日には『umbrella』のデジタル先行配信もスタートした。

傘を題材に切ない無償の愛を綴ったFukaseは「もしかしたら将来、自分の子どもに対して抱く感覚だったりするのかもしれない」と話す。

難航した曲づくり

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SEKAI NO OWARIの新曲『umbrella』


――『umbrella』はフジテレビ系の連続ドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』(新型コロナウイルスの影響で放送延期)の主題歌になっています。作曲クレジットがFukase & Saoriとなっていますが、制作はどのように進められたのでしょうか。

Fukase:Saoriがつくった楽曲のサビを、僕が練り直して書いてできあがった楽曲です。

Saori:ドラマの脚本を読ませていただいて、何曲かメロディーを書いたんですけど、ドラマに合うものと私たちに合うものの共通点がなかなか見つからなくて。メロディーづくりも難航しました。

みんなが「これ、いいよね」って言ってくれる『umbrella』の原型になった曲があって、もともと別のサビがついていたんです。

Fukaseから「Saoriちゃんの書いたAメロBメロに、自分の書いたサビをくっつけてみたい」というアイディアの提案があって、いまの形になりました。

《私は君を濡らすこの忌々しい雨から 君を守る為のそれだけの傘 それは自分で決めたようで運命みたいなもの 何も望んではいけない 傷付くのが怖いから》(『umbrella』)

擬人法に挑戦

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SEKAI NO OWARI(左からNakajin、Fukase、Saori、DJ LOVE)


――心模様を傘になぞらえた歌詞もユニークですね。

Fukase:透明なビニール傘に擬人法を使いました。僕らのなかでは擬人法という擬人法は、ほぼ初めてで。

ロボットが主人公の歌(『Error』)とかはあるんですけど、完全に意思を持たない物の歌っていうのはおそらく初めてです。

使い捨てのビニール傘って、雨が降ってる時にはすごく重宝されるけれども、雨がやんでしまった時には荷物になったり、ゴミになったりしてしまう。

コンビニや銀行に忘れてきたことさえ、気づかないぐらいの存在。このテーマでいこうと思って書き始めて。

ドラマの台本も読ませていただいて、その世界観と通じる部分を自分なりに構成しながら書いていった歌詞でした。

「思う」だけしかできない

Hayami Yanagisawa / Getty Images


――確かにビニール傘って、いつの間にかなくなっちゃうんですよね。

Fukase:そうなんですよ。雨が降っている時は必要とされていたのに、雨が上がるともう必要とされない。そういう瞬間って人生においても、ちょくちょくあるんじゃないかなと。

ただ擬人法で傘をテーマに書いたはいいんですけど、傘って動かないので本当に大変でした。一度そういう歌詞を書いてみたら、「唐傘おばけ」みたいで超気持ち悪くなっちゃって。

傘は「思う」だけしかできなくて、すべてが受動的。能動態にできないので。どうやって2番の歌詞を書いて、どうやって終わらせればいいんだろうって。

そういう制限のなかで、かつドラマのストーリーともリンクしないといけない。結構パズルのように書いていった感じでしたね。

できれば次は、動くものにしたいです(笑)

「忘れた事さえ忘れられて」

Toshiyuki Shirai / Getty Images


――「忘れた事さえ忘れられてしまったような」という最後の1行は人間に置き換えると切ないですね。無償の愛というか、哀しい優しさというか。

Fukase:まだ人生でそういう経験はあまりないですが、いつかあるのかな…。

もしかしたら将来、自分の子どもに対して抱く感覚だったりするのかもしれない。この曲の歌詞は恋愛的ですけど、そういう「無償の愛」っていうものを題材に書いた感じがします。

DJ LOVE「来年あたり皆さんの前で」

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DJ LOVE


――今年でデビュー10周年を迎えます。皆さんに今後の抱負や展望を伺えますか。

DJ LOVE:今年がインディーズデビュー10周年で、来年はメジャーデビュー10周年。この長い10周年イヤーで、来年あたりに皆さんの前でライブできたらいいなと。

それ以外にもいろいろまだ発表前のこともありますけれども、楽しみに待っていただけたらと思ってます。

Saori「一人でも立てる自分として」

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Saori


Saori:今まで4人で力を合わせてやってきたことが、すごく多かったと思うんですけれども。言い換えると、自分一人では何ができたんだろう?って自問する日々も続いていて。

これからは、やっぱり「一人でも立てる自分として、このバンドにちゃんと参加する」っていう風になりたいなと私個人では思ってます。

「4人じゃないと生きていけないSaori」じゃなくて、「ちゃんと一人で立っていられる自分」が、よりSEKAI NO OWARIの力になるというか。

足し算じゃなくて掛け算でバンドの力になれたら、みたいな展望は持ってます。

Nakajin「10年の重さ実感」

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Nakajin


Nakajin:10年やってると小学生だった人が大学生になったり就職したり、中学生、高校生だった人は結婚して子どもができたりとか。

ラジオ番組やSNSでファンの皆さんの声を聞いていると、すごく長いストーリーを一緒に歩んできた感じがします。

「あの時のライブが」「あの曲が」と言ってもらえることが多くなってきて、誰かの人生に影響を与えているんだなと。

そういう影響の大きさ、10年の重さみたいなものを、ここへきてすごく実感して。楽曲づくりやライブとかに対しても、向かう姿勢がすごく変わったなって個人的には思ってます。

10年続けることは簡単ではなかったですけど、よりこの先も見たくなった。ファンの人たちと一緒に、今までとは違う形で15年、20年へと向かいたい、という気持ちが強まってますね。

Fukase「絵本も進めたい」

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Fukase


Fukase:「10周年をメジャーデビュー10周年にするか、インディーズデビュー10周年にするか。どっちがいい?」ってライブでお客さんに聞いたら、みんな当然のように「早めのインディーズデビュー10周年にしてくれ」と。

「じゃあ、会場がとれた時にやろうか」なんて言って、今年が10周年みたいな感じでやってたんですけど、こんな状況になるとは思ってなかったので。

《新型コロナウイルスの拡大を受け、SEKAI NO OWARIは9月に予定していたドームツアー全5公演を中止。5月27日に発売予定だったベストアルバム『SEKAI NO OWARI 2010-2019』のリリースも来年に延期した》

LINE LIVE、ありがとうございました。みんなからのメッセージ、ずっと読んでます。ツアー中止・ベスト延期は苦渋の決断で、伝える時に色んな感情で声が少し震えたけど、こんなに沢山の想いに支えられてきたのかと改めて実感できました。改めてありがとうございます。

— Nakajin (@Nakajinsekaino)

Fukase:やっぱり今年はエンターテインメントをフルスロットルでできる時期じゃないので。10周年まるごと来年に持ち越しだね、みたいな話はメンバーともスタッフとも話してます。

「End of the World」(海外展開を見据えたSEKAI NO OWARIの別プロジェクト)の方は録り貯めてきたものが結構あるので、たぶん今年のうちにポンポンポンと出せるんじゃないかなと思うんですけど。

僕としては音楽リリース以外のところで、ずっと「書かなきゃいけない」と言い訳していた絵本も進めたいですし。

今まで「音楽をつくらなきゃいけない」というリミットに忙殺されてた部分があったので、もう少しいろんなジャンルに幅を広げて。

音楽だけにとどまらず、自分ができるなと思ったことを、いっぱいやっていける年にできたらなと思ってます。

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SEKAI NO OWARI


〈SEKAI NO OWARI〉Nakajin、Fukase、Saori、DJ LOVEの4人組。2010年、『幻の命』でインディーズデビュー。翌年『INORI』でメジャーデビューした。代表曲に『スターライトパレード』『RPG』『Dragon Night』など。2014年から5年連続でNHK紅白歌合戦に出場。6月24日にシングル『umbrella / Dropout』をリリースする。