77回目の終戦の日を迎えた8月15日。「英霊」をまつる東京都千代田区の靖国神社と、その近くに設けられた「無名戦没者の墓」である千鳥ヶ淵戦没者墓苑には、マスク姿の参拝者たちが手を合わせた。


Kensuke Seya / BuzzFeed


靖国神社と千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、互いに近い場所にあるが、人々の考えの違いもあり、両方に行く人もいれば、あえてどちらか一方の参拝しかしないという人もいる。

まずは、それぞれの場所を紹介する。


靖国神社とは

Kensuke Seya / BuzzFeed

靖国神社は、明治維新以降、「国のために命を捧げた」246万柱以上とされる軍人や軍属らを「英霊」としてまつる。

かつては国の管理下にあったが、戦後、国の手を離れて宗教法人となった。1978年には東条英機元首相ら「A級戦犯」を合祀した。


Kensuke Seya / BuzzFeed

政治家による靖国参拝は、毎年、注目される。閣僚らの参拝には、政教分離の観点から問題があるといった指摘がある。靖国神社を巡っては展示施設の遊就館等に対し、「過去の戦争を肯定している」という批判もある。

一方で、靖国にまつられることを信じて戦死した「英霊」に祈りを捧げないのはおかしい、という主張もあり、議論は今も絶えない。


千鳥ヶ淵戦没者墓苑とは

Kensuke Seya / BuzzFeed

千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、そんな靖国神社のすぐ近くにある。

靖国神社からわずか800メートルしか離れておらず、政府が1959年に設置した。環境省が管理している。

ここでは、海外から持ち帰られたものの、身元が判明せず、遺族の元に戻ることができなかった遺骨が主に納められている。



Kensuke Seya / BuzzFeed

軍人、軍属、民間人の遺骨37万267柱(2022年7月19日現在)が眠り、第二次世界大戦で亡くなった全戦没者の慰霊追悼のための「聖苑」とされている。

2013年には、来日したケリー米国務長官とヘーゲル国防長官が、ケネディ駐日大使(いずれも肩書きは当時)とともに、千鳥ヶ淵を訪問した。

このことから、アメリカ政府は靖国神社ではなくこちらを国の公式な追悼施設と捉えているとわかる。


そんな2カ所で、BuzzFeed Newsは尋ねた。

Kensuke Seya / BuzzFeed


「こちらを訪れたのは、なぜですか?」


<靖国神社>


「英霊に感恩」

Kensuke Seya / BuzzFeed

「子どもが歩けるようになった昨年から、一緒に訪れています。兵士の方々がはここに来る約束で亡くなっているので、感謝の気持ちを伝えにきました。何も考えずに来られるということは平和だから。一番ありがたいことなのかもしれません」

<49歳と5歳の親子、東京>


「今ある命に感謝です」

Kensuke Seya / BuzzFeed

「東京大空襲では自宅が全焼しました。いまの自分が生かされているのはご先祖様のおかげ。感謝の気持ちを伝えました。世界のどこであっても、戦争は終わってほしい」

<85歳>

「20年前から、毎年来ています。私たちの命があるのは英霊のおかげ。あんなとんでもない戦争は、2度と起きてほしくないと思っています」

<74歳、ともに埼玉>


「哀悼の念」

Kensuke Seya / BuzzFeed

「いま、安心して暮らせる国をつくってくれたのは、明治以降の軍人の人たちの国防の心。国のために戦った人々に対し、この日にこそ哀悼の意を伝えたいと思ってきました」

<ともに17歳、高校2年生、神奈川>


<千鳥ヶ淵戦没者墓苑>


「ぜったいに戦争はさせない!」

Kensuke Seya / BuzzFeed

「小さい頃、焼夷弾で真っ赤に燃やされた街を見て、怖いと思いました。おじ2人も戦死し、いまも1人は骨が帰ってきていない。ここは、家族のもとに帰ることのできない悲惨な目にあった人たちが眠る場所。毎年来て、あんな嫌な戦争は2度と繰り返させないと誓っています」

<84歳、埼玉>


「二度と戦争を起こさせない」

Kensuke Seya / BuzzFeed

「戦争は絶対に起こしてはいけない。いまのロシアによるウクライナ侵略も、1日も早く終わってほしい。無念の思いをした人たちがいるこの場所で、平和でありますようにと祈りました」

<左から55歳、58歳、25歳の親子、横浜>


「平和な未来」

Kensuke Seya / BuzzFeed

「曽祖父が南方で戦死し、いまも遺骨が帰ってきていません。祖母が3歳のころだったそうで、未練もあったはず。政治の道具ではなく、本来の慰霊の場はこちらの場所と思って、中学3年生のころから来ています。曽祖父が守ってくれた日本の平和な未来をつくっていくと伝えました」

<18歳、高校3年生、千葉>