この“病”から逃れるすべを、人類はまだ知らない――。

ノーベル賞作家・カミュの代表作の小説『ペスト』のコミカライズ(漫画・車戸亮太)がWebサイト「Bバンチ」で6月19日にスタートしました。

新潮社


194X年4月、アルジェリア北西部の港町オラン。短い春を謳歌していた町は前触れなく閉ざされた。恐ろしい流行病によって……

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コロナ禍で再注目 4ヶ月で70年分売れた

『ペスト』は『異邦人』に次ぐカミュの2作目の小説。

かつて中世ヨーロッパで猛威を奮った伝染病、ペスト。感染者の皮膚が内出血で黒っぽくなることから「黒死病」とも呼ばれます。

ねずみを宿主とするこの伝染病は、致死率が非常に高いのが特徴。14世紀に起きた大流行では、当時の世界人口の20%超に当たる1億人が死亡したと推計されています。

小説『ペスト』は、当時フランス領だったアルジェリアのオラン市でペストが発生した――という設定で、封鎖され孤立した街で、伝染病という見えない敵と戦う市民たちと、人間性を蝕む“不条理”をドキュメンタリー風に描いています。

新潮社 / Via shinchosha.co.jp

新潮社のWebサイトで冒頭を試し読みできます


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「物語の中で描かれる情景が今と重なる」と、全世界で注目度が急上昇。各国でベストセラーにランクインしました。

日本でも2月以降だけで12回、36万4000部を増刷し、累計発行部数は160万部を超えました。

1955年に刊行され、60年以上にわたって読まれてきた名作ですが、近年の増刷は平均年5000部程度だったそう。この4ヶ月で70年分以上の数が読まれたことになります。

先ほど紹介したのは、物語のプロローグ。続きが気になる皆さんのために、6月26日公開の第1話前半を独占先行公開します!

血だらけの鼠、不穏な予兆

診療室から出かけようとする医師、ベルナール・リウー。階段口で1匹の死んだ鼠(ねずみ)につまずく。

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「なぜ、鼠の死骸が…?」ここは普段鼠がいそうもない場所なのだ。

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門番のミッシェルは言う。「この建物に鼠はいねぇんです!」「誰かのイタズラに決まってまさぁ」

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同日の夕方、帰宅したリウ―。1年以上病んでいる彼の妻は、田舎の療養所に明日発つことになっている。

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「診療所に鼠が出てね」「ミッシェルさんは大慌てさ」

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そして、翌朝。

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門番は通りかかったリウ―を引きとめ、血だらけの3匹の鼠を見せる。「今日は3匹も…」「まったく、手の込んだことしやがる…」

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ただならぬ予兆を感じるリウ―。「イタズラならいい」「万が一違うとすると…」

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往診に行く途中も、道端に野菜くずやボロとともに投げ出された鼠が目に入る。

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最初に訪れた病人との話題も「鼠」だ。「こいつぁ…飢饉ですぜ」「鼠が逃げだすのはその前兆でさァ」

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「それならいいんですが…」頭によぎる最悪の予想。「アレはもう 暖かい国からは何年も前に消え去ったはずだ」

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街にあふれる鼠の死骸と、“何か”が起こり始めた予兆。

この数ヶ月の閉塞感にどこか重なる『ペスト』の世界がどんな風に描かれるのか――第1話のフルバージョンは、「Bバンチ」で26日に公開予定です。