中部電力が2005年ごろに放送していた「でんきの科学館」のCMが、今になって公式に再公開されて話題になっています。

きっかけになったのは、ある漫画家の「いくら探してもネットにない」という投稿。幻のCMはなぜ再公開されることになったのか、編集部は中部電力の担当者に復活の経緯をうかがいました。

時事通信

「ネットにない」と安藤さんが紹介

話題のCMは、中部電力が運営する展示施設「でんきの科学館」(名古屋市)を紹介するもの。

どうやら2005年ごろに放送されていたそうなのですが、漫画家の安藤正基さんが6月、

「でんきの科学館の『駄々をこねる子供を並べて電池の直列つなぎと並列つなぎを学べるCM』がいくら探してもネットに無い」

という友人の言葉をSNSで紹介したところ、「懐かしい!」「あったあった!」などの目撃証言が寄せられることに。

なお、安藤さんの投稿では、手書きのイラストで当時のCM内容を再現。確かにこれは一度見たら忘れられないかも……。

これを受けて、中部電力が8月、3種類のCMを11月28日まで限定公開することを決めました。

復活したのは、「直流・交流篇」「残像篇」「低周波篇」の3種類。

安藤さんが求めていた「直流・交流篇」では、電池に見立てた子ども2人が手足をばたつかせて、「でんきの科学館、連れてって! 連れてって!」と駄々をこねています。

子ども2人が“直列”で縦に並んでいると、より激しく駄々をこねますが、すぐに電池切れで止まってしまいます。

一方、“並列”で横にならんでいると、激しくはありませんが、より長く駄々をこねています。

CMには、「直列のほうが強力だけど、並列のほうが長持ちします」とのナレーションがつき、電池のつなぎ方を学べるようになっています。

中部電力の担当者に聞きました

――CMを復活させた経緯を教えてください。

安藤さんの投稿を見て、どうするか検討していたのですが、社内でもCMを覚えている人があまりいませんでした。そこで、CMデータが入っているハードディスクを見てみてみたら、「何これ、面白い」と思いました。今出しても良い内容だと判断し、再公開することにしました。

――再公開の狙いは何ですか。

改めて、でんきの科学館のPRになって、来てくれる人が増えたらという思いからです。また、安藤さんは名古屋弁の漫画を書いていらっしゃって、アニメにもなっている。その方の投稿に中部電力としても反応したいなという気持ちもありました。

――再公開にあたり苦労などはありましたか。

再許諾をもらうのが大変でした。実は4つのバージョンがあったのですが、事務所がなくなってしまったために、どうしても「発電篇」だけは再公開できませんでした。公開したものにも、例えばエキストラの方々にはモザイクをかけています。

――期間限定の公開になったのも、権利の関係なのですね。

出演者、ナレーター、音楽などに許諾料をお支払いして、3カ月の限定公開させていただくことになりました。
再公開の過程でお話しした広告業界の方からは、公式がCMを復活させるのは大変めずらしいと言われました。
――CMを見た人にメッセージをお願いします。
でんきの科学館は、科学やエネルギーについて学ぶというコンセプトで、無料の施設です。大小のリニューアルを繰り返し、2005年からは展示のほとんどが変わっています。懐かしいと思って頂いた方は、ぜひまたお子様連れでいらしていただければと思います。

安藤さん「とんでもないこと」

中部電力の公開を受けて、安藤さんは「とんでもないことが起きました!」「でんきの科学館のCM公開は冗談抜きで八十亀ちゃん描いててよかった出来事の5本指に入る」と大喜び。

CMの復活に、ネット上では

「めちゃくちゃ懐かしいw」

「懐かしすぎる。マジで直列と並列これで覚えてた」

「むき出しの電球、電線、電池を見るだけで毎回このCM脳内に流れてた」

「中電さん凄い!! このフットワーク!!」

などの声が上がっています。