行政による犬猫の殺処分ゼロを目指して全国で不妊手術の奨励事業などを行っている公益財団法人どうぶつ基金が12月20日、「遺贈希望者に対する遺言信託業務の紹介に関する協定書」を三井住友銀行と締結したと発表しました。

環境省が2018年に公表した資料によると、日本では年間34,854頭の猫が行政によって殺処分されており、そのうち約62%(23,276頭)は離乳していない生後間もない子猫たちが占めています。
※参考:犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況/環境省自然環境局

そのような生まれてすぐに殺されてしまう子猫をなくすため、野良猫に無料で不妊手術を施して個体数が増えないようにする取り組みを行っているのが「どうぶつ基金」。1988年から毎年活動を継続しており、2018年時点では累計80,000頭を超える野良猫に不妊手術を施しています。

しかしながら、不妊手術の依頼は全国のボランティアや自治体などから殺到しており、運営資金の大半を占める現状の寄付金だけでは安定的に手術資金を賄えないことから、深刻な資金不足に陥っていると言います。
今回、そんな同基金から発表された協定は「遺言信託業務」の紹介に関するもの。

遺言信託とは、依頼者(遺言者)の要望をヒアリングしながら公証役場で遺言書を作成するための相談相手となり、作成した遺言書を保管し、遺言者が亡くなった場合は遺言執行者となって遺言書に記載されている内容を実現するサービスで、全国の信託銀行などが提供しています。

同協定は、自分の財産を遺言によってどうぶつ基金へ譲りたいと考えている人に相談窓口として三井住友銀行を紹介し、一方の三井住友銀行では遺贈先が決まっていない顧客の要望に応じて協定締結団体のひとつに「どうぶつ基金があること」を紹介するという、相互に紹介し合うことを取り決めたもので、三井住友銀行が猫や犬の不妊手術奨励事業を行う動物愛護団体と締結するのは今回が初めてのことなのだとか。

遺言信託のサービスを利用する際には所定の手数料や報酬等がかかり、公証役場での公正証書の作成についても別途費用が発生するものの、遺言書によって公益法人等へ財産を譲る場合は、一定の条件を満たすことで相続税を非課税とする特例を受けられるメリットがあることから、今回の協定は自身の財産を動物愛護活動や犬猫の殺処分ゼロ実現に役立てたいと考える人と、資金不足に陥っているどうぶつ基金をつなぐ効果が期待されます。

なお、同基金では全国から寄せられる無料手術の要望にすべて応えるのが困難な状況が続いているため、不妊手術の取り組みを継続的な寄付によって支援する「さくらねこサポーター」の募集を広く呼びかけています。