漫画家のますむらひろし氏が描く漫画作品シリーズ「アタゴオル」のキャラクターと、葛飾北斎の浮世絵が融合したイラスト作品などを展示する「ますむらひろし展 −アタゴオルと北斎と賢治と−」が1月3日から岩手県立美術館で開催されています。

宮沢賢治の童話作品の漫画化やアニメーション「銀河鉄道の夜」(杉井ギ サブロー監督)の漫画原作者として知られている同氏の代表的なシリーズ作品が、猫と人間が同じ言葉を話し共存する理想郷を描いた「アタゴオル(ATAGOAL)」。

宮沢賢治の心象世界である「イーハトーブ」に呼応させながら作り上げたこの空想世界では、立って歩くユーモラスな猫「ヒデヨシ」と個性豊かな住人達を中心に物語が進んでいき、ヒデヨシが起こす数々の騒動をきっかけに新しい発見が「アタゴオル」の世界にもたらされる展開が特徴的で、これまでに4つのシリーズ作品(アタゴオル物語、アタゴオル玉手箱、アタゴオル、アタゴオルは猫の森)が発表されています。

近年は葛飾北斎の描く日本の美しい景勝地の浮世絵に「アタゴオル」の住人たちが違和感なく溶け込んだカラーイラスト「アタゴオル×北斎」を発表。一見すると人物が猫のキャラクターに置き換わっだけのようにも見える作品をよく見ると、樽の板がところどころ猫の形になっていたり、樽を固定している台に絵が描かれていたりと、基本は元の絵を忠実に再現しつつも「アタゴオル」の世界観が違和感なく表現されています。

これはますむら氏が葛飾北斎の浮世絵を模写し、その作品を自分なりに解釈したうえで「アタゴオル」の要素をどのように描いていくのかを考え表現した作品で、付帯する同氏の解説文には浮世絵を模写して「アタゴオル」の要素を加える際の考えやそのプロセス、北斎の画業についての見解などが、北斎への尊敬と畏敬の念を持って語られています。

本展ではこの「アタゴオル×北斎」シリーズを中心に、登場人物を猫の姿に置き換えつつも原作の文章を忠実に表現した宮沢賢治童話のシリーズなど、ますむら氏の繊細で色鮮やかなカラーイラスト作品が集結。
作品以外にも漫画原稿や創作ノートをはじめ、作中の小道具の参考資料として使われた作家自身が所蔵する鉱物や古道具など、約200点が展示されています。

■ますむらひろし展 −アタゴオルと北斎と賢治と−
期間:2019年1月3日(木)〜2月17日(日)
時間:9:30〜18:00(入館は17:30まで)
会場:岩手県立美術館 企画展示室