日本では「アメショー」の愛称で親しまれ、人気の猫種ランキングでも常に上位に挙げられるアメリカンショートヘア。

17世紀にイギリスの開拓民船(メイフラワー号)に乗せられていた猫がルーツのひとつとされ、アメリカ大陸に渡った後は開拓民と共に暮らしながら繁殖を繰り返し、1906年には愛玩猫として品種が確立。もともとネズミなどの害獣を捕まえるために飼われていたことから、がっしりとした体型で運動能力が高く、遊ぶのが大好きな反面、肥大型心筋症や尿石症などの病気を発生しやすい傾向にあると言われています。

そんなアメリカンショートヘア種の全ゲノム解読に世界で初めて成功したことを、アニコム損保のグループ会社であるアニコム先進医療研究所が2020年5月22日に発表しました。
キーワードは近年注目を集めている「ゲノム獣医療」。

これは「個人のゲノム(全遺伝情報)からその体質を予測することで、個人に最適な医療を提供する」という、人間の医療分野で発展してきた考え方を動物に応用。
従来型の獣医療では同じ治療でも効果があるネコとないネコが存在していましたが、ゲノム獣医療は遺伝情報に基づいて個体の体質に適した治療を行うため、より効果的・効率的に獣医療を行えるようになると期待されています。

それを実現するためには、動物のゲノム情報を蓄積することが必要不可欠。
しかし、ネコの場合は遺伝的に均一なアビシニアン種しか情報がなく、かつ未解明のゲノム構造もあることから研究に利用できる情報が一部に限られていました。

そうした状況を打開するため、アメリカンショートヘアを対象に行われたのが今回の研究。

アメリカンショートヘアは国内だけでなく世界的にも人気があり、他の猫種との交配にも使用されるなど遺伝的な近縁が多い品種。また、アメリカ大陸に初めて上陸したネコを祖先としていることから、品種の成り立ちを考える上でも極めて重要な猫種であることなどの理由により研究対象として選ばれたのだとか。

研究は国内外の遺伝子研究機関や大学などと共同で行い、アメリカンショートヘア種の全ゲノム配列を染色体レベルで解読することに成功。
その結果、ゲノム上には全部で23,119個の遺伝子があることが確認されたほか、アメリカンショートヘア種とアビシニアン種のゲノム配列を比較したところ、両者は染色体の一部で異なるゲノム構造をもっていることが明らかになりました。

同研究所によると、今後は2品種のゲノム構造の違いを詳しく調べることで、肥大型心筋症などアメリカンショートヘア種で発生しやすい疾病と関連した遺伝子や、品種の成り立ちに関する新たな知見を得られることが期待されるほか、イエネコ全体の健康を守るゲノム獣医療の発展に向けた応用研究を飛躍的に進められるようになるとしています。