中学受験塾を選ぶ親子

かつては「裕福な家庭」「優秀な子」のためのもの、というイメージが強かった中学受験。しかし最近では、多くの家庭がチャレンジするようになっています。

気になるけれど、情報が多すぎて何から始めればいいのかわからない…。そんな保護者向けに、「中学受験の正体」を“イロハ”から進学塾VAMOSの代表富永雄輔さんに教えていただきます。 

中学受験をすると決めたら、次に考えるのが塾選び。そもそも塾に通わなきゃだめなの?中学受験塾選びのポイントについて伺います。

大手塾は共働き家庭に不向き?

読者の中には、「そもそも中学受験に塾って必要なの?」と思われる方もいるかもしれません。実は中学入試の問題では小学校で学ぶ内容をはるかに超える知識量、テクニックが求められ、中学受験未経験の大人が教えるのは困難です。

しっかりとしたカリキュラムで計画的に学び、演習を重ねなくてはならないため、ほとんどの中学受験生が塾を利用しているのが実情です。

そこで悩むのが、「どの塾がいいの?」ということ。

塾を選ぶ際に見るべきは、「学力との相性」「子どもの性格との相性」「保護者との相性」の3つです。

「学力との相性」「子どもの性格との相性」はもちろん大事なのですが、受験生活をサポートする「保護者との相性」とくに重要です。

さらに共働き家庭は、保護者が忙しい分、どんなフォローが必要なのか、それを満たしてくれる塾なのか、しっかり検討しておく必要があります。

そういう意味で、「実は大手塾は共働き家庭の受験には向いていない」というのが僕の見解です。家庭でのサポートがものすごく求められますから…。ただ、共働きならではの経済力で、後ほどふれる個別や家庭教師のフォローを利用できるのなら、大手塾もいいかもしれません。

塾選びの前に、自分たちがどの程度の時間を子どもに割けるのか、割きたいのか。じっくり自問しておきましょう

家庭での負担が少ない?中堅塾の魅力

もしお金も時間もあまり割けないのなら、中堅塾を検討してみてください。中堅塾の中には、通塾回数を多くして塾でたくさん勉強を見てくれたり、塾で自習させてくれたりして、家庭での負担を減らしてくれるところがあります。

また、規模が小さいからこそ小回りがきいて融通がきくという面も。コロナ禍にいち早くオンライン授業に対応できたのも一部の中堅塾でした。

中堅塾は塾生が少なく、講師の異動もほとんどないため、講師と塾生の距離が近く相談しやすいというメリットもあります。

塾に相談をしたときに、一般論に終始せず、わが子に合ったアドバイスが返ってくることも多いでしょう。

チェックポイントは、データ活用や戦略指導ができるかどうか

ただし、中堅塾に関しては不安な点もあります。

まず、大手ほど校舎が増やせないので、受け皿に限りがあり、人気塾は入るのが大変だということ。

また、料金は塾によってかなり違いがあります。指導力も塾によってさまざまで、模試などのデータ活用がうまくなく、志望校選びの戦略指導を受けられないところも。そのあたりはしっかりリサーチしておきましょう。

低学年から通塾する本当の価値

中学受験塾のカリキュラムは、ほとんどの塾で新4年生(3年生の2月)からスタートします。

ただ、人気の塾は新4年生の時期には定員がいっぱいで入れないケースも。そのため「低学年から入塾したほうが有利」と考える保護者も少なくありません。

この傾向はコロナ禍で更に加速しました。休校期間が長引いた際、特に低学年の子どもの学力が、塾に入っているかいないかで大きく差がついてしまったんです。

またいつ休校や短縮授業になるかわからない。もしそうなったときに、家庭でわが子をきちんと勉強させる自信がない…。

そんな保護者にとって、ペースメーカーとしての塾があったほうが安心だというのなら、は低学年のうちから塾に入れる価値はあると思っています。

低学年のころは月謝もそれほど高くなく、勉強の内容もさほど難しくない。習い事感覚で通って、勉強する習慣が作れるのならお得。そういう考え方もあるのではないでしょうか。

中学受験は個別指導や家庭教師で突破できるのか

集団塾は基本的に一律のカリキュラムで、1対多の授業を行います。一方、個別指導塾や家庭教師は、生徒の状況に合わせた内容を、11または1対2で教えます。講師1人あたりの生徒数が少ないため、コストは高めになります。

そうしたことから、個別指導塾や家庭教師は、集団塾に通いながら、その塾が出す課題を家庭でこなしきれない場合など補助的に利用されることが多いようです。

個別指導塾には、SAPIXグループのプリバート、日能研グループのユリウスなど、グループ内の大手塾のフォローを得意とするところがあります。中堅塾でも、個別指導をオプションで行っているところもあります。また、TOMASのように、他塾のフォローもしてもらえるし、個別指導だけで合格を狙えるところもあります。

家庭教師は、中学受験を専門とするプロから、中学受験の知識のない学生までさまざまですから、何のためにどんな人に依頼するのか吟味する必要があります。

集団塾のフォローとして個別指導を利用するなら、苦手な単元の強化などに絞って、かつ6年生限定で利用することおすすめしたいです

4、5年生から個別指導に通うと、「あとで個別の先生に聞けばいいや」と個別指導塾に頼りすぎてしまい、集団塾の授業に集中できなくなる可能性があるからです

中学受験の正体_matome1

中学受験では親のサポートが不可欠。とくに共働き家庭の場合は、親がどんなサポートができるかによって合う塾が変わってきます。塾を選ぶときは、保護者のライフスタイルを見直し、どこまで時間とお金を割けるか考えてみましょう。

監修/富永雄輔 取材・構成/鷺島鈴香 イラスト/サヌキナオヤ