中村さん連載バナー

こんにちは。メンズカウンセラーの中村カズノリです。

前回までは僕自身の体験をお話ししました。今回から読者のお悩みを実際に伺ったうえで、カウンセラーとしての見解を示し、お悩みを少しでも軽くする提案をしていきたいと思います。

家事・育児は100%妻の役割!?「なんで俺がやらないといけないの」が口癖の夫

第1回目は、パートナーとの家事・育児の分担に悩むCさん(33歳)の相談です。
※相談内容や相談者のお名前・年齢等はプライバシーに配慮した内容に変更しています。

Cさんの相談内容

5歳年上の夫は、少し年の差があることと仕事が忙しいこともあって「家事・育児は妻が100%担って当たり前」と思っている様子。私は年子の未就学児2人を育てつつ、「社会との接点を持ち続けたい」とアルバイトをしていますが、夫は「アルバイトのせいで家事が疎かになるくらいなら専業主婦でいてほしい」と考えているようです。

夫は仕事が激務のため、私はワンオペが日常。私自身が「辛い、しんどい」と思っていることについて多少は話せる関係ではあるものの、「それはこうしたほうが効率的じゃない?」と方法論や正論をぶつけられてしまい、「自分の要領が悪いのがいけない」と責められているように思えて余計に苦しいです。

子どもたちの親として、家庭を支える同志としての当事者意識を持ってほしいのですが、夫はどうもそういう意識が薄そう。家事や育児に協力してとお願いしても、たいてい『なんで俺がやらないといけないの?』という質問から始まるんです。夫が納得できる答えを返さないといけないことを、すごく負担に感じています…。

パッと価値観をアップデートできる“魔法の言葉”なんてない

これ、本当によくわかります。「どうして自分が今それをしなければならないのか」と説明を求めてしまうパートナーの気持ちも、それにいちいち応じなければいけないCさんのしんどさ…そのどちらも。

妻が感じている問題点に夫が無頓着である(あるいはその逆も)というパターンは決して少なくありません。我慢している側が頑張りすぎてしまっていて、相手には何が問題なのか見えていないということや、問題に向き合う勇気がなくて無意識に見ないふりをしてしまうということも多々あります。

そんなとき、できることは何でしょうか?

「今の時代は男女で家事・育児を分担することが当たり前」だと説明してわかってくれる人もいますが、残念ながらまだ少数派です。僕たちが子どもの頃は、まだ「家事・育児はお母さんの管轄」という価値観も根強かったですから。その当時の感覚が抜け切らない人も多いです。

そういう感覚の人すべてが、パッと価値観をアップデートできる「魔法のような言葉」があればいいのですが、残念ながらそれは僕にはわかりません。

その理不尽な価値観は本当にパートナーだけのもの?

ただ、大事なこととして、「『家事・育児は母親の役目』というのは、本当にパートナーだけがもっている価値観か?」と自分自身に問う必要があると考えています。

今回のCさんの場合、パートナーにもっと主体的に育児に関わってほしいと思いながらも、無意識に「私が1人で完璧に家事・育児をこなせて、いつも笑顔の理想のお母さんでいられたらいいのに」と思う部分があるのかもしれないと、自身の言動を振り返って分析していました。

夫に正論を突きつけられて困り果てる女性

こういう「自分の根っこ」を掘り起こし、自覚できるのはとても立派なことです。誰にでもできるわけではありませんし、Cさんは現時点で解決の糸口に気付いていると言えるかもしれません。とはいえ、それによって逆に“二律背反”を抱え込むことになってしまっています。つまり、理想の自分が「家事育児を完璧にこなせるお母さん」であるからこそ、そうでない現況への罪悪感、「1人じゃできないから助けて」とパートナーに訴えることへの抵抗感をもたらしてしまっているのです。

僕から伝えられることは、育児の責任はもともと2人で分かち合うのが望ましい、パートナーの意識はすぐには変わらないとしても、まずはCさん自身がパートナーに対して「無責任な顔しているけど、本来はあなたにも半分責任のあることなんだからね」という意識づけをしてみるのも手だということ。口に出して言わないまでも、心の中では責任を半分投げてしまうのです。子どもに対する責任は父母両方が負う、それが当然なのですからね。

子育ての日々は決断の連続…すべて1人で担うのはあまりにしんどい

体調が悪いときに保育園や学校を休ませるかどうか、小児科を受診するかどうか、習い事は何をやらせるか、今日は長袖を着せるか半袖を着せるか…などなど、日々子育てをしていると、そんな小さな決断の機会は常に降ってきますよね。

決断には決して小さくないエネルギーが必要です。そうした決断のすべてを常にどちらか1人の親が担うというのは、あまりにも負担が大きいと思います。

「子どものことは妻にすべて任せていますから」という男性は少なくないですが、それならば最低限、妻が子どものためにした選択の結果に対し、責任を半分負うという自覚は必要でしょう。仕事なら、部下を信じて任せたプロジェクトがうまく行かなかった場合、その責任は管理職が被るもの。それと同じことです。

ですが、この「仕事であれば」という感覚も実はクセモノです。お互いに納得ずくでないと、仕事のやり方を家庭に持ち込むことは危険が大きいのです。Cさんのパートナーも、家庭内のマネジメントをして貢献しているつもりが、残念ながら逆効果になってしまっている部分がありました。

その点については次回、詳しくお話しします。

文/中村カズノリ イラスト/竹田匡志