©Gomdori co., Han Hyun-Dong/Mirae N/Jeong Jun-Gyu/Ludens Media /朝日新聞出版

©2021東映まんがまつり製作委員会

「科学漫画サバイバル」シリーズの映画化第2弾『深海のサバイバル!』が8月13日より公開中。本作では、東大卒クイズ王の異名を持ち、クイズプレイヤーとして活躍する伊沢拓司さんが劇場アニメ映画の声優に初挑戦!

伊沢さんが演じるのは、潜水艇をモニターする海洋調査船のオペレーター。サバイバルの達人ジオ、ピピ、コン博士が乗っている潜水艇アンモナイト号を海上で見守りながら不測の事態に冷静に対応するという役どころです。

CHANTO WEBでは「楽しいから始まる学び」をコンセプトに、何かを「知る」きっかけとなるような記事や動画を毎日発信している東大発知識集団「QuizKnock」の代表でもある伊沢さんにインタビュアー役をお願いし、映画の監修を務めたJAMSTEC高井研さんへさまざまな質問をしていただきました!

監修で意識したのはリアルと創作のバランス

伊沢さんが高井さんに深海の海の魅力を訊く!

伊沢さん:

Twitterやインタビュー記事などを拝見しております。研究内容はもちろんですが、高井先生のお人柄をとても興味深く感じています。

高井さん:

私もYouTuberを名乗っているのですが、人気YouTuberの伊沢さんにそういったお言葉をいただけるのはとてもうれしいです。

伊沢さん:

本作の監修はいかがでしたか?

高井さん:

原作が大人気シリーズということで、その世界観はそのままに保ちながら、海の専門家の立場からのリアルを反映したいと考えていました。

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伊沢さん:

私もオペレーター役で参加しましたが、難しい用語がたくさんでてきました。

高井さん:

伊沢さんの演じたオペレーターは、普段の我々の仕事に近い気がしました。

伊沢さん:

台本をもらったと当時に、用語を検索するところからスタートしたくらい、初めて見る言葉も少なからずありました。にもかかわらず、子どもが見て理解できるような構成になっているのがすごいですね。

高井さん:

海に詳しい子どもたちから「そんなのありえない!」とツッコミを受けないように、リアルと創作のバランスは意識していました。

伊沢さん:

マニアの子は詳しいですもんね(笑)。深海では、実際に映画のようなハプニングがあるのでしょうか?

高井さん:

私たちが行う調査では、さすがにあそこまでのハプニングはないです(笑)。うちの潜水艇(※「しんかい6500」)はどんなことがあっても絶対に戻ってくる、ほぼ100%の安全性があります。映画のようにジオ、ピピの活躍なしでも、無事に海上に戻ってきます。でも、今回の場合はプライベートな探査という設定なので、ハプニングがあっても不思議ではありません。もう30年近く海に潜っていますが、映画のようなハプニングに近いことは何度かありました。人が乗っていない無人探査機では、ケーブルが切れたりすることは経験しています。

探査でのハプニングは人間関係?!

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伊沢さん:

調査では実際に海中で生活するのですか?

高井さん:

大体8時間程度の滞在になります。

伊沢さん:

潜水艇で長時間過ごすうえで、どんなことが大変ですか?

高井さん:

原作が大人気シリーズということで、その世界観はそのままに保ちながら、海の専門家の立場からのリアルを反映したいと考えていましたまずは“狭い”ということです。大人が3人くらい乗り込んで、閉ざされた世界で過ごすので、合わない人がいると大変です(笑)

伊沢さん:

事前に地上でチームビルディングをするのでしょうか?

高井さん:

パイロットも研究者も大体の場合メンバーは分かっているし、慣れてきました。初期の頃は、わがままなタイプがいると船内で喧嘩が起きることもありました。

伊沢さん:

それはおおごとですね。

高井さん:

ムードは悪くなりますね(笑)

伊沢さん:

最先端のミッションを背負っているからこその衝突のように思えます。

高井さん:

その通りです。研究者はいろいろとやりたいことがある。パイロットは安全性を最優先しなければいけない。そういう意味での衝突です。

伊沢さん:

映画にもそれに近いシーンがありますよね。

高井さん:

子どもたちの無鉄砲な感じは、とてもいいことです。あれこそ、研究者の姿です。

これからの研究がいきなり登場してびっくり!

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伊沢さん:

映画での深海の描写はいかがでしたか?

高井さん:

冒頭で深海に潜航した主人公たちが塩水湖を発見するシーンがあります。深海に残された最後の調査とも言われている深海研究者が狙っている研究対象がいきなり出てきて、「科学漫画サバイバル」シリーズの目のつけどころに驚きました。

伊沢さん:

まだ謎がたくさんある場所なのでしょうか。

高井さん:

私も、以前から紅海の深海塩水調査を計画して、狙っているところです(笑)

伊沢さん:

子どものころから海や深海が好きで科学者になったのですか?

高井さん:

そう言いたいところなのですが、最初は「有名になりたい」という理由で科学者の道を選びました。表現者として科学者を選んだというのが正しいです。今のようにYouTubeなどがなかった時代の表現は、新聞、映画、小説が中心。実はそういった業種にも自由に制限があります。科学者が一番自由だと思ったんです。表現は自由だし、記録が何千年も残りますしね(笑)。若い頃はノーベル賞がほしくて仕方なかったけれど、今は、史上最強の科学者になりたいと思っています。いわゆる理系少年ではなかったので、科学に対して客観的な見方ができるのは、私の強みだと思っています。

伊沢さん:

入口がおもしろいですね。先生らしいという印象を受けます。先生を惹きつけ続ける科学の魅力はなんでしょうか?

高井さん:

いちばんはおもしろいこと。また科学の世界ほど平等な世界はないと思っています。実力のある人が強い、そこに尽きます。ちょっと変わり者のようにメディアに取り上げていただくことも多いですが、ベースにあるものは「研究がすごい」という点です。だから、偉そうに語っていられるわけです。

伊沢さん:

人類初を成し遂げたという実績ですね。

高井さん:

わかりやすくて、とても美しい世界です。

伊沢さん:

映画を観る子どもたちには「科学好きになるべし」ではなく「科学って楽しい」と思ってもらえればオールクリアという感じでしょうか?

高井さん:

興味を持つことはとても大切です。深海には日本の子どもたちが全員で研究しても、解明できないものがたくさんあります。なので、多くの子どもたちが科学に興味を持ち、研究者になってくれるとすごくありがたいですが、この映画が何かに興味を持つきっかけになるとうれしいです。さまざまなものしり博士になってほしいです。

身近な海でも研究はできる。おすすめは“潮だまり”

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伊沢さん:

先生おすすめの海の研究方法を教えてください。

高井さん:

磯採集がおすすめです。海の岩場で潮だまりを見つけてください。潮だまりには生物の宇宙があります。

伊沢さん:

私も先日、潮だまりでウニを取りました。

高井さん:

季節によって棲んでいる生き物も違うのでとてもおもしろいです。

伊沢さん:

海というと夏を思い浮かべますが、季節ごとに楽しみがあれば、子どもの興味を継続させることができて親御さんとしてもうれしいのではないでしょうか。

高井さん:

子どもだけでなく、親御さん、そしておじいちゃんおばあちゃんでも楽しめます。どの世代にも絶対楽しい遊びです。

PROFILE 伊沢拓司 / クイズプレーヤー、(株)QuizKnock CEO

1994年生まれ。東京大学経済学部卒。高校時代に「全国高等学校クイズ選手権」で史上初の個人2連覇を達成。2016年、東京大学在学中にwebメディア「QuizKnock」を立ち上げ編集長を務める。テレビ番組に出演するほか、登録者170万人を越える同YouTubeチャンネルの企画・出演も行う。

PROFILE 高井研 / 地球生物学者

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)超先鋭研究開発部門 部門長。1997年、京都大学大学院農学研究科水産学専攻博士課程修了。同年より海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者となり、深海熱水における微生物研究の第一人者として生命の起源に迫る研究を続けている。著書に「生命の起源はどこまでわかったか――深海と宇宙から迫る」(岩波書店)など。

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC) http://www.jamstec.go.jp/j/

高井さん所属研究部門のYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCd4w_K9AjOdYPecfS-5upuw

JAMSTECのYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/user/jamstecchannel

[作品情報]

『深海のサバイバル!』

◉公開中
◉原作:「科学漫画サバイバル」シリーズ(朝日新聞出版)
◉監督:入好さとる
◉脚本:村山功
◉監修:JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)
◉制作:東映アニメーション ぎゃろっぷ
◉声の出演:松田颯水 潘めぐみ 石田彰 山口勝平 岩崎ひろし 東地宏樹 / 伊沢拓司
◉配給:東映
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取材・文/タナカシノブ