人口が減少する中で公共交通をどう維持するかを考える県の検討会が十一日、長野市内で初会合を開いた。県内の主な都市を結ぶ高速バスの利用を促すなど、新たな方策を一年かけて検討する方針を決めた。可能なものは来年度からモデル事業として具体化を目指す。
 県内の公共交通は、乗り合いバスの年間利用者数が約二十年で三割減少、鉄道も同二割減り、厳しい経営を強いられている。市町村がバス路線維持のため支出している額は十年で一・八倍増え、二〇一五年度は計二十八億円に達した。
 自動車を運転できず、公共交通などに頼らざるを得ないお年寄りは増え続ける。七十五歳以上の免許返納件数は十年で約三十倍の三千五百七十五人に達しており、自家用車を使わずに生活できる地域づくりが課題になっている。
 交通手段の確保はこれまで市町村や各業界が担ってきたが、県は人口減少対策などを見据え、積極的に関与する方針に転換。幅広い視点で考えようと、交通事業者のほか経済団体や福祉団体、物流業者の代表者を交えた検討会を設置した。
 生活の足となる地域交通では、安曇野市の乗り合いタクシー交通「あづみん」などの先進事例や、他の市町村の失敗事例を検証し、各地域に適した公共交通のあり方をまとめる。情報技術の活用なども検討する。
 地域外からの来訪者向けの観光交通では、飯田市に建設が予定されるリニア中央新幹線の駅や県営松本空港から、観光地への交通手段などを話し合う予定だ。
 二〇年の東京五輪を見据え、首都圏などで活用されるSuica(スイカ)など交通系ICカードの利用拡大を急ぐべきだとの意見が出された。

 (今井智文)