郡上特別支援学校の男性講師=当時(24)=が二〇一三年に過労自殺した問題で、遺族の請求で今年三月に公務災害と認定されなければ、県教委が関係者の処分に動かなかった可能性が高いことが分かった。県教委と遺族の面談記録などを本紙が入手し、判明した。発生二カ月後の時点で原因究明を求めていた遺族は、県教委の対応に不信感を強めている。
 男性は採用二年目の一三年五月、作業実習の準備をめぐり同僚に謝罪するよう上司に激しく叱責(しっせき)され、四日後に飛び降り自殺しているのが見つかった。
 入手記録によると、同七月の県教委との面談で、遺族は午前三時までの残業や十分間にわたる叱責を挙げ、「過重労働とパワハラ」が自殺の原因と指摘。問題の分析と報告を求めたのに対し、県教委は「勤務管理の方向をきちんと出したい」と発言している。
 この二カ月後、県教委は書面で回答。「肉体面・精神面の疲労が蓄積し、健康状態が思わしくなくなる可能性は否定できない」としたが、上司との関係には言及していない。以降、県教委から遺族への連絡はなかった。
 「このままでは真実が隠されてしまう」と感じた遺族は、男性の手帳に記された仕事内容や同僚らの証言から勤務実態を調べ、一六年一月に公務災害認定を請求。今年三月、「量的質的に過重業務で、上司の態度や言い方は嫌悪感や恐怖感を感じさせる」として、認定された。
 県教委はこれを受けて初めて、関係者の処分を検討すると表明。今月には働き方改革プランを策定した。取材に「公務災害として自殺との因果関係がはっきりしたことを踏まえた」と説明。認定されなかった場合の対応を問うと「仮の話なのでコメントできない」と答えた。
 遺族は自らが調べなければ問題が放置された可能性に触れ、「なぜ四年たっても責任の所在が明らかにならないのか」と憤る。過労問題に詳しい公益財団法人「社会医学研究センター」(東京)の村上剛志理事も公務災害制度は本来、遺族への補償が目的だとし「組織がけじめをつけるのは公務災害とは別の問題。県教委の動きは鈍いと言わざるを得ない」と批判している。
 (近藤統義)