歌舞伎俳優の中村勘九郎さん(35)、七之助さん(34)の兄弟が、東京で「全国芝居小屋錦秋特別公演2017」の製作発表を行った。江戸後期から昭和初期に築かれた全国八カ所の芝居小屋で十一月から「棒しばり」「藤娘」を上演する。県内では三カ所で上演予定で、地元の地歌舞伎保存会や芝居小屋関係者から喜びの声が上がった。
 百二十年以上の歴史がある中津川市加子母の明治座(県重要有形民俗文化財)では、故中村勘三郎さんが〇六年に十八代目を襲名披露。一五年十月には全国育樹祭の関連イベントとして行われた小屋の代改修記念式典で、二代目中村七之助さんの名誉館主就任が発表された。七之助さんは「必ず明治座の舞台に立ちたい」と映像メッセージも寄せていた。
 「待ち望んでいた舞台」と喜ぶのは、地元有志でつくる「明治座保護会」の熊沢和美会長(68)だ。故勘三郎さんの襲名披露に小屋のスタッフとして携わった熊沢さんは、一三年に小屋で故勘三郎さんの記録映画を上映した際に勘九郎さんが駆けつけたエピソードを紹介。「勘九郎さんも『明治座で何かやりたい』と言っていた。それが実現する。古くからある芝居小屋が、歌舞伎の原点であることを大切にしているのだと思う」と話す。
 加子母歌舞伎保存会の岡崎隆彦会長(64)は「公演の皮切りが明治座なのは名誉なこと。県も地歌舞伎による文化発展や観光振興を図っている。公演は明治座を改めて発信する機会。地歌舞伎を盛り上げていきたい」と期待した。
 また、公演会場の一つで、瑞浪市日吉町の美濃歌舞伎博物館「相生座」の小栗幸江館長(69)は「地方の歌舞伎がより一層注目を浴び、文化の発展にもつながる。大変すばらしい」と喜んだ。

 (星野恵一、篠塚辰徳)