県環境保全研究所(長野市)は十五、十六日、北アルプスの爺(じい)ケ岳−岩小屋沢岳の尾根筋(標高二千四百〜二千五百メートル)で、赤外線センサーカメラを設置するなどした。高山植物の花畑を荒らすニホンジカやイノシシの侵入経路を把握する狙いで、保護すべき植生が残る地点を確認する。
 研究所は二〇一三年から毎夏、尾根筋に七〜十台のカメラを設置して野生動物の侵入状況を調査している。ニホンジカが毎年撮影され、昨年は初めてイノシシによる高山植物の掘り起こしを確認。高山帯の植生保護が急務であることを示した。
 研究所自然環境部の尾関雅章研究員(46)が北アへ登り、十五日に岩小屋沢岳(二、六三〇メートル)辺りにカメラ四台を設置。十六日は六月下旬に鹿島槍ケ岳(二、八八九メートル)一帯に取り付けたカメラ三台の点検をした。
 カメラは縦十五センチ、横十センチ、幅六センチ。長さ五十センチ余のアルミ製ポールを山に打ち込み、地面から三十五センチほどの所でカメラを固定する。登山道脇のハイマツ帯など登山者らから見えない場所に設置している。リチウム電池八本で数カ月の撮影が可能といい、十月中旬にカメラを回収する。
 尾関研究員は「ニホンジカが侵入している以上、何らかの植物を食べている可能性がある。群れによる食害はまだ確認されていないが、高山帯の植生に影響が出ている心配はある」と指摘。南アルプスや八ケ岳で高山植物の花畑が壊滅状態になった例を挙げ「同じ轍(てつ)を踏まぬよう、里山での捕獲とともに防護柵設置など幅広い対策が必要。環境省や林野庁とも協力し植生保護に努めたい」と話した。

 (野口宏)