志摩の主将でエース堀木山葉投手(三年)は八回裏、108球目で相手打者を二飛に打ち取り、ベンチに向かう途中、マウンドに向かって帽子を脱いだ。「みんなと最後まで野球が楽しくできた」。心の成長を遂げた一年間だった。
 今春に一年生が三人入部するまで、部員は九人。一人でも欠けたら試合ができない状況だったが、練習内容を巡って何度も部員同士でけんかした。短気な性格から、試合ではミスした仲間に対して憤ることも。それでも少ない部員で戦う中、絆は深まり、考え方も変わっていった。
 相手は、春の県大会で強豪・海星を破った実力校の久居農林。130キロ超の直球とスライダー、ツーシームで的を絞らせず、五回までに6奪三振と快調に飛ばした。
 疲れが見えた六回、犠飛で先制を許し、七、八回にも追加点を奪われた。今までなら言葉と表情で悔しさを爆発させるところだったが、この日は違った。「あと1回ある。みんなで頑張ろう」。最後まで笑顔を絶やさず、チームを鼓舞した。
 城山秀俊監督は「百二十点の投球。エースとして主将として、本当に良く頑張ってくれた」とねぎらった。
 「今日の出来は八十点。もっと良い投球はできた」。試合後にすがすがしい表情で振り返り、応援してくれた仲間を見た途端、涙がこぼれた。「一人でも欠けたら野球はできなかった。感謝の気持ちしかない」

 (関俊彦)