施設「現実的に判断」「把握せず」
 富山県内を今月一日に襲った大雨で氷見、黒部、高岡の三市が「避難準備・高齢者等避難開始」を出したが、実際に避難したのは三十八人。高齢者、障害者、妊婦が早めに移動できるための避難情報だが、取材してみると、「現実的な判断をした」「避難情報を把握していなかった」として避難しなかった施設も目立った。甚大な災害時に対応できるか、課題が浮かんだ。(木許はるみ)
 この情報は、岩手県内の高齢者施設で九人が死亡した昨年八月の台風10号を受け、国が定めるガイドラインの「避難準備情報」の名称を変更して設けられた。防災メールや防災行政無線、テレビを通じて伝えられる。富山県内の発令は今回が初めてだった。
 氷見市は九地区で九人が、黒部市は三地区で四人が避難所へ。両市の対象者は少なくとも約千八百人だった。高岡市は避難勧告の一地区を含む十地区で二十五人が避難所へ行った。
 発令した場合には、市町村は高層階や崖から離れた場所に移って身を守るように促す。今回は屋内避難も見送った福祉施設も。
 その一つである氷見市の老人ホームは職員が隣接する川の水位やインターネットで雨雲の流れを確認。「実態を把握し、現実的な判断をした。結局は避難準備の段階だった」と振り返った。市内の別の老人ホームの関係者は「避難情報を把握していなかった。ハザードマップ(浸水想定区域図)では区域外で油断していた」と説明。黒部市のグループホームは「差し迫った状況ではなかった」として避難しなかった。
 県防災危機管理課の担当者は「高齢者等避難開始という意味が正しく伝わっていない。工夫が必要」と課題を挙げ「豪雨は短時間で一気に水が増す。今は大丈夫と思っていると、逃げられなくなる。避難しても大したことがなかったという経験も大切」と早めの行動を呼び掛ける。
 避難準備・高齢者等避難開始 高齢者や障害者、妊婦、乳幼児といった避難に時間のかかる「要配慮者」をはじめ、支援者が避難を始め、その他の人は準備をするよう促す情報。危険度が増すと避難勧告、指示(緊急)と段階が上がる。市町村が地域防災計画などに基づき、川の氾濫や土砂災害の恐れがある場合に発令する。基準は、川の水位や雨量など市町村ごとに定めている。