コールド負けの結末に、エースの涙は止まらなかった。二回途中から登板し、5失点を喫した宇治山田商の宮原大樹投手(三年)。最速143キロの直球が武器の好投手は早くも大会を去った。
 エースナンバーを背負った昨夏は初戦敗退。今年五月には練習中に右肘を痛め、一カ月の“投球禁止”を強いられた。「投げられるか不安だった」。ウエートトレーニングを課して、なんとか大会に間に合わせたが、万全な状態ではなかった。
 2点を追う二回無死一塁の場面で左翼からマウンドに向かった。暴投、死球でピンチを広げ、適時打を浴びて1点を失った。すかさず駆け寄ってきた牛江健斗捕手(二年)から「先輩はいつも通りに投げれば打たれません」と励まされた。
 この言葉で自信を取り戻し、四回は腕の振りなどフォームを修正。一八六センチの身長から繰り出す、角度のある直球とスライダーを駆使して、相手打線を封じた。
 しかし、五、六回に甘く入った直球を狙い打ちされ、失点を重ねた。「エースなのにみんなを引っ張れなかった」。試合終了後、目を真っ赤にして言葉を絞り出した。
 高校野球はこれで終わりだが、卒業後も野球を続けるつもりだ。「夏の悔しさは忘れない。仲間に信頼される投手になりたい」。唇をかみしめながら再起を誓った。

 (大島宏一郎)