県は、三月に運用開始した県営浅川ダム(長野市)の完成式を二十四日に開くのに先立ち、施設内を報道機関に公開した。普段は浅川の水を下流に流し、洪水時だけ水をためる「穴あきダム」で、これまで運用に問題はないという。
 総事業費三百八十億円をかけて建設し、高さ五十三メートル。底の部分に高さ一・四五メートル、幅一・三メートルの「常用洪水吐き」と呼ばれる穴がある。その内部には水路と魚道があり、流れ込む川の水をそのまま通している。
 流れ込む水量が毎秒五トンを超えるあたりから、自然にダムに水がたまり始め、最大百十万トンの貯水が可能。最大で毎秒百トン分の水をせき止め、百年に一度の洪水に備えるとしている。運用開始後は、長野市内で浸水などの被害があった十一日の大雨の時に約千トンの水がたまり、深さは約三メートルになったという。
 浅川の下流部は、周辺の土地より川の方が高い天井川で、古くから洪水が頻発。県は河川改修に加えて一九七七年から利水を兼ねたダムを計画していたが、二〇〇二年に当時の田中康夫知事が「脱ダム宣言」で計画を中止した。村井仁前知事が〇七年、治水専用ダムとして再開するなど紆余曲折(うよきょくせつ)があった。
 一〇年には、建設に反対する住民が「建設地が活断層の上で、周辺は地滑りの危険性もある」と公金支出の差し止めを求めて県を提訴。一審、二審は住民側が敗訴し、上告している。
 ダムを所管する県浅川改良事務所の吉川逹也所長は「試験湛水(たんすい)でもダムに異常は生じていない。九州のような豪雨に備え、しっかり管理運用していきたい」と話した。

 (今井智文)