二十一日に開かれた国の文化審議会(馬渕明子会長)で、県内からは近江八幡市の旧近江療養院希望館(五葉館)など計六件の建造物を、新たに登録有形文化財にするよう答申された。手続きが進めば、県内の登録有形文化財(建造物)は計三百九十六件になる。
 今回答申されたのは旧近江療養院のほかに、奥村家住宅主屋(大津市)と川村家住宅主屋(同市)、角田家住宅主屋、米蔵、文庫蔵(いずれも米原市)。
 旧近江療養院は一九一八(大正七)年に建てられた結核療養所で、ヴォーリズ建築事務所が設計。日光を十分に受けられるように五室の病室が五方向に突き出しているほか、換気の工夫もされている点が評価された。
 奥村家住宅は、一九三五(昭和十)年に建てられた木造二階建ての町家で、昭和初期の大津の町家の特徴を残している。二階広間の床柱に黒檀(こくたん)を使うなど建築的にも質が高いという。角田家住宅は、江戸後期の町家で、北国街道の宿場として栄えた米原宿の面影を伝える貴重な遺構という。

 (浅井弘美)
◆「ますます協力必要」ヴォーリズ遺産守る会
 「うれしいが、責任を伴うことになり、身が引き締まる。ますます皆さんの協力が必要です」と話すのは、近江八幡市北之庄町のヴォーリズ記念病院敷地内で保存されている「五葉館」再生に取り組むNPO法人ヴォーリズ遺産を守る市民の会の辻友子代表(78)。
 五葉館は、米国出身の建築家ウイリアム・メレル・ヴォーリズ(一八八〇〜一九六四年)の建築事務所設計で、結核療養所として一九一八年に創立。銅板ぶき木造平屋の五室からなる個室建物(八十三平方メートル)で、小高い丘の上に建ち、五室はカエデの葉の形のように五方向に突き出す。
 建物は一時、机やベッドなどが放り込まれ物置状態だったが、二〇一五年に五部屋のうち三部屋とロビーを修繕。「自然治癒による回復を願ったヴォーリズ精神の象徴ともいえる建物をなくしたくない」と辻代表は会員の思いを代弁した。
 施設を所有する公益財団法人近江兄弟社の藪秀実本部事務局長(52)は「多くの人に知ってもらい、未来に伝える一助になれば。保存に力を注いでいただいているヴォーリズ遺産を守る市民の会の熱意に感謝します」と話した。

 (前嶋英則)