◆旧東泉院宝蔵と旧六所家門および塀
 国の文化審議会(馬渕明子会長)は二十一日、富士市今泉八の「旧東泉院(とうせんいん)宝蔵」と「旧六所家(ろくしょけ)門および塀」の二件を国の有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申した。歴史を継承してきた関係者からは喜びの声が上がった。
 旧東泉院宝蔵は一八五七(安政四)年の建造。東泉院は富士山信仰をつかさどる真言宗の有力寺院だったが、明治の廃仏毀釈(きしゃく)で廃寺に。住職が還俗(げんぞく)して六所氏を名乗り、本堂の場所に置かれた日吉浅間神社の宮司として史料などを受け継いできた。
 旧東泉院の跡地は現在、市の公園の一部として整備され、入り口部分に残る門と塀は明治中期の建造。門は「三間薬医門」という切り妻屋根を掛けた形式で、石垣上に立つ塀は「竪板張(たていたばり)」造りとなっている。宝蔵は昨秋から内部を公開。「富士山大縁起」など貴重な資料は富士山かぐや姫ミュージアム(同市)で研究・展示が行われている。
 六所氏の流れをくむ日吉浅間神社宮司の六所芳和さん(66)は、旧東泉院の由緒を記したパンフレットを自主制作し、訪れた人への解説も自ら行うなど、歴史の継承に尽力。有形文化財登録について「歴史を守ろうとやってきたことが認められたようでうれしい」と喜ぶ。今は県外で暮らす息子や娘もいずれ六所さんの仕事を引き継ぐ予定といい、「継承できれば喜ばしい。これからも多くの方々に旧東泉院がこの地で信仰を集めたことなどを知っていただければ」と話している。
 八月二十六日には旧東泉院跡地をメインにしたウオーキングツアー「東海道吉原宿の歴史を訪ねて」も実施される。無料だが事前に参加申し込みが必要。富士市観光ボランティアガイドの会=電0545(64)3776=へ。
(前田朋子)