国の文化審議会は二十一日、射水市本江の「旧田中家住宅」を国の登録有形文化財(建造物)に登録するよう文部科学相に答申した。同住宅を交流スペースとして活用、運営する市内のNPO法人アポロンの野入潤理事長(63)は「建物の風情を生かして維持、管理しながら活動を続けたい」と喜んでいる。
 田中家は、江戸時代初期に漁業を営み、明治以降に北海道との廻船業や金融業で財を築いた旧家。主屋(しゅおく)、離れ、北の土蔵と南の土蔵、庭門の四件が登録の対象となる。現存する主屋(二百六十六平方メートル)は木造二階建ての瓦ぶきで、一九一七年ごろの建築。一八八三年に建てられた旧主屋が一九一六年に失火で焼失し、再建された。木造平屋の離れ(四十平方メートル)は火災後に、火を扱う台所と風呂を別にするために建てられた。
 主屋は、各部屋の天井を格子状にしたり、京都の北山スギや白木の板を使ったりして趣の異なる造りになっている。ふすまに雲母で模様を描くなど随所に意匠を凝らし、三階建てに見える主屋の屋根の構造も特徴。県教委の担当者は「当主の美意識が分かる。ぜいたくで財力があることもしのばれる」と評価する。
 アポロンは二〇一五年、同住宅を所有者から無償で譲り受けて活用するためにできた。「勘兵衛はうす」と命名し、文化的なイベントを企画したり、有償で貸し出したりしている。
 今回の登録で県内の登録文化財(建造物)は六十三カ所、百二十五件となる。 (山中正義)