金沢の宝勝寺 
 国の重要伝統的建造物群保存地区内にある金沢市寺町の宝勝寺が、廃寺寸前まで荒れ果てていた敷地内の墓地を現代的な庭園風墓地へと全面改装した。最近の葬送事情を踏まえ、樹木葬や集合墓も用意。無縁墓の増加や寺離れが進む中、高橋友峰(ゆうほう)住職(69)は「自分の墓が守られていくという安心感を」と必要性を語る。(中平雄大)
 宝勝寺は一六三一年創建の禅寺で、加賀藩に仕えた武家の菩提(ぼだい)寺にもなっている。しかし、二〇一一年に福井県内の寺との兼務で赴任した高橋さんによると、五十年間の無住状態により、創建当初の趣を残す本堂の床には穴が開き、約一千平方メートルの墓地にはひっくり返った墓石も。参拝者の姿はなく「まともな状況ではなかった」という。
 復興のため、高橋さんは市の協力で一三年に本堂の修復に着手。墓地は三百基ほどあった墓を合祀(ごうし)するなど「宝勝寺ふれあいパーク霊苑」として庭園風に大胆に改装した。代々の墓は霊苑の「奥の院」に集約。庭園風のエリアは、こけむす庭をイメージした和風と、色鮮やかな花々に包まれた洋風に分けた。
 好きな図柄や文字を彫刻できるプレート型の墓石を取りそろえ、和風エリアではサクラ、洋風エリアではバラの木の下に納骨する樹木葬も可能。使用年数は十三、三十三、五十年から選べ、その後は永代供養される。霊苑の中央に共同の集合墓も備え、地中に二千四百柱の遺骨を埋葬できる。
 キリコなど伝統的な風習が残る金沢では大きな墓で先祖をまつる従来の意識が根強く、高橋さんは「受け入れられるかどうか」と語る。ただ、寺町にはかつての宝勝寺のように稼働しているか分からないような寺もある。「寺町を空洞化させたくない。若い世代にお墓をお参りする大切さも教えていかないと」と話す。
 霊苑では二十三日から利用申し込みの受け付けを始める。問い合わせは、霊苑=フリーダイヤル(0120)780380=へ。