「粘って投げて良かった」。福井商のエース石本太一投手(三年)は熱戦の末の勝利を喜んだ。
 三回以降、毎回走者を背負う苦しい展開。六回の攻撃中には足をつって治療も受けた。それでも、マウンドを降りるつもりはなかった。「僕が倒れたらチームも倒れる」。連戦にもかかわらず、11回、171球を投げ切った。
 木下風汰主将(同)は「今まで見てきた中で一番良い投球」と絶賛した。
 八回1死三塁のピンチ。マウンドに集合し、木下主将に「取られても同点」と声を掛けられ、吹っ切れたという。次打者に適時打を浴び、1点を取られたものの、その後は「大事な一本を打たせない」との思いで追加点を許さなかった。
 九回と十一回、2死二、三塁での相手エース牧丈一郎投手(同)との直接対決では「負ける気がしなかった」。一番自信のある直球で打ち取った。
 「背番号1を付けている。試合ではチームの大黒柱でありたい」。
 昨夏は果たせなかった甲子園への道を、自らの投球で切り開く覚悟だ。
 (片岡典子)