◆あすから 専門家2人16カ所
 伊豆半島ジオパークの世界ジオパーク認定に向けた現地審査が二十五〜二十七日、伊豆半島全域である。世界認定への挑戦は二〇一五年九月に認定保留を受けて以来二度目で、同年十一月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の正式事業に採用されてからは初めて。専門家二人が、「ジオサイト」と呼ばれる、地質の特徴が見られる地点を中心に視察する。
 伊豆半島ジオパークについては、静岡県東部の十五市町を中心に組織する「伊豆半島ジオパーク推進協議会」が昨年十一月末、日本ジオパーク委員会を通じて、ユネスコ本部に申請書を提出した。
 申請書では、課題の「地質の国際的価値の証明」に関して、伊豆半島周辺で火山島の列同士が世界で唯一現在進行形で衝突していることや二千万年前から現在まで火山活動の痕跡をたどれる点などを強調した。前回保留の一因となったイルカ漁については、協議会は「ジオパークとイルカ漁は直接的には無関係」との立場で、申請書では触れていない。「現地審査で質問があれば、現状について説明する」としている。
 現地審査は、ユネスコから派遣されたマレーシア人とルーマニア人の専門家二人が担当。十六カ所を巡り、申請書の内容を検討する。二十五日は伊豆半島ジオパークの拠点施設「ジオリア」から出発し、西伊豆町の堂ケ島や一色枕状溶岩を視察。二十六日は南伊豆町の子浦や下田市の市街地、二十七日は伊東市の大室山や城ケ崎海岸、函南町の丹那断層公園を訪れる。
 協議会によると、前回の一五年六月の現地審査の行程を踏襲した上で、火山島同士が世界で唯一現在進行形で衝突していることをアピールするため、函南町の丹那断層公園や火雷(からい)神社を新たに加えた。
 世界認定の可否は現地審査の報告を基に、九月に中国で開かれるユネスコ世界ジオパーク評議会で検討される。認定勧告を受ければ、来年春のユネスコ執行委員会で認定される見通し。
 協議会会長の菊地豊伊豆市長は「やるべきことはやった。国際的な価値や伊豆半島がどういう歴史でできたのかを理解してもらえるとありがたい」と望む。
◆松崎高生 発表へ入念準備
 ジオサイトの地元は、現地審査に備えている。松崎町の松崎高校サイエンス部の生徒は西伊豆町一色の一色枕状溶岩について発表する。十八日はリハーサルを行い、審査員役の地元ガイドらを相手に、英語の紙芝居で地層の成り立ちを説明するなどして、流れや動き方を入念に確認した。
 部長の二年稲葉柾成(まさしげ)さん(16)は「発表の機会をもらえて誇らしい。伊豆半島を世界ジオパークにできたらうれしい」と話す。副部長の二年増田美寿々さん(16)は「世界認定にかける私たちの思いを審査員に伝えたい」と意気込む。
 <ジオパーク> 地球や大地を意味する「ジオ」と公園の「パーク」を組み合わせた言葉。学術的に貴重な地質や地形を備えた場所だと認定されることで、自然環境の保全だけでなく、観光振興への期待も高まっている。火山活動への対処などの防災や、地元について学ぶ教育への活用も目指している。日本ジオパークは現時点で伊豆半島を含む43地域あり、そのうち8地域は世界ジオパークに認定されている。世界ジオパークは日本を含む35カ国127地域。
(佐久間博康、写真も)