悩みを抱える子どもたちに寄り添う保健室の機能を充実しようと、大津市教委が養護教諭の研修会を始めた。発達障害やLGBT(性的少数者)の子どもへの対応など、今日的な課題も盛り込む。十九日の初回には約七十人が参加。市は養護教諭の増員も進めており、サポート態勢を充実して人材確保にもつなげる考えだ。
 「職業柄、先生は相談を受けるとつい答えを出してあげたくなる。でも子どもはそんな答えは求めていないのです」。この日、ロール・プレイ方式の相談対応の練習で、講演したおうみ犯罪被害者支援センターの松村裕美理事は強調した。
 例に挙げたのは子どもが性犯罪の被害に遭ったケース。加害者が親族である場合など、言い出しにくいことが多い。事実を聞き出すには時間がかかるが、すぐに対処が必要な場合もある。
 成績評価に関与しない養護教諭には、子どもは悩みを打ち明けやすい。スクールカウンセラーと異なり常勤で、けがや病気に限らず休み時間に保健室を訪ねる子どもも多い。何げない会話から異変を知ることもある。そのため市教委は昨年度から、中規模以上の学校に複数の養護教諭配置を目指し、独自財源で増員を進めている。
 市内の養護教諭ほぼ全員でつくる自主的な研究会も長年続いているが、対応の技術は教諭の経験により差がある。インターネットの普及などで子どもが抱えるトラブルも多様化している。
 新たな研修会では、教諭の対応力向上と情報交換を進める。来年二月までの十三回。十回出席した教諭を「こころの先生」と認定する。講師には大学教授やカウンセリングの専門家を招き、心の相談の基礎から実践までを学ぶ。
 人材確保には難しさもある。本年度は嘱託の養護教諭を二十人増やす予定だったが、急な募集だったため、増員は十一人にとどまった。市教委の職員が近隣府県の大学を訪ねたり、退職した元教諭に声を掛けたりして補充に努める。市教委学校教育課の担当者は「若い教職希望者に大津を選んでもらうためにも、こうした研修やサポート態勢の充実が重要だ」と言う。
 研修会に参加した小学校の養護教諭(50)は「養護教諭だけでは子どもたちの悩みを解決できない。研修と同時に、学校全体で教員間の風通しを良くすることが大事なのでは」と指摘した。

 (野瀬井寛)