三回戦で強豪の県岐阜商をコールドで倒し、四回戦では終盤に5点差をひっくり返して逆転勝ち。最後の夏、チーム一丸となって波乱を巻き起こしてきた海津明誠は、新チーム結成当初、バラバラだった。
 「人に指示するのは苦手だった」という伊藤竣哉主将(三年)。昨秋、部員による投票で主将に選ばれた時も「やりたくなかった」。そんな消極的な思いを見透かされ、チームはまとまりを欠いた。
 自己主張が強く、練習で手を抜く選手もいた。チームは、秋と春の県大会では地区大会で敗退。夏が迫った六月、岩橋浩二監督から「練習をやらなくていい」と突き放された。
 三年生同士で話し合い、泣きながら本音をぶつけ合った。伊藤主将も仲間に厳しく指摘するようになった。変化は徐々に表れ、以前は味方のミスでチーム全体の雰囲気が沈んでいたが、今は「取り返そう」と盛り上がるようになった。
 一つになったチームの勢いは、自らのバットにも乗り移った。四回戦では終盤に二打席連続の三塁打を放ち、計5打点で逆転勝ちの立役者に。「負ける気がしなかった」。この日も五回に左前適時打を放ち、チーム唯一の得点をたたき出した。
 試合後、仲間への感謝の言葉が自然とこぼれた。「もっと一緒にやりたかった」。悔しさの中にも充実感を漂わせながら、主将として戦い抜いた夏を終えた。

 (滝田健司)