連覇を掛けた最後の夏。準優勝のメダルを胸に、佐久長聖のエース塩沢太規投手(三年)はベンチで泣き崩れた。
 緊迫した投手戦が予想された決勝は、試合開始直後に様相が変わった。今大会、完投した三試合で3点しか失っていない塩沢投手だが、一回の立ち上がりに制球が乱れた。4四死球を与え、この回一気に4点を失った。
 二回以降は立て直し、七回まで0点に抑えた。打線の援護で六回に同点となったが、八回2死一、三塁の場面で、直球を右前に運ばれ、勝ち越しを許した。
 昨夏の決勝では、二年生ながら先発を託された。2失点で完投し、チームでただ一人、甲子園も経験した。
 昨秋から「1」を背負い、「エースになって去年より周りに声を掛け、試合を引っ張っていくようになった」と藤原弘介監督も信頼を寄せていた。
 鈴木大河捕手(二年)と毎試合後にビデオを見直し、フォームを修正するなどして息を合わせてきた。冬場は体づくりに励み、夏の大会全試合を投げ抜く覚悟で心身を鍛え上げた。
 仲間が去っても、ロッカールームでうなだれていた塩沢投手。「帰ろう。よくやった」と藤原監督に肩を抱かれ、言葉を残さずに球場を後にした。

 (水田百合子)