スポーツ強豪の県立高校で、県教委の規則に反し県外の親元を離れ越境入学する生徒が百十六人いた問題で、県教委は二十五日、県外からの受験を認めるかを議論する有識者検討会の初会合を開いた。「県外生徒がいると活性化につながる」など容認論が相次ぐ一方、中学教員らは「県内の子の学ぶ機会を優先すべきだ」と訴えた。
 検討会は大学教授や中高のPTA代表、教員、企業経営者ら十四人で構成。現在の中学二年生が受験する二〇一九年度以降の入試について、越境の可否などを来年二月ごろまでに県教委に提言する。
 会長に選任された三重大教育学部の山田康彦教授は「生徒らの夢が実現できる高校にしたい。一方で公平で誰もが納得できる制度が必要」と述べた。
 協議では、保護者代表が「県外からも選ばれるのは学校に魅力がある証拠」と発言。委員でマスヤグループ本社(伊勢市)の浜田吉司社長は「企業は地域から働き手を迎える。県外から入学して三重を第二の故郷と感じてくれればいい」と越境入学に賛意を示した。
 一方、元中学校長は「中学で大変な進路指導をしてきた。ルールが守られていなかったのはショック」と強調。中学教員は「貧困で思うように勉強できない子に、県立校はセーフティーネットだ」と、越境を認めると志望校に入れない県内の生徒が出てしまう問題を指摘した。
 また、県内が三学区に分かれる現状を踏まえ「県内の子が受けられない学校があるのに、県外から受験を認めるのは不公平」との意見があった。専門家は「全県一学区にすると、他県では人気学区に受験が集中している」と述べ、南部の学校で生徒がさらに減る懸念を示した。
 すでに例外的に越境入学が認められる県立水産高(志摩市)の元教員は「学校の特色を高める努力をしたが、県外から生徒が来ることで減少が解決、とはならなかった」と指摘した。

 (森耕一)
◆秋田など10県は全校県外受験可 調査結果公表
 検討会で県教委は、全国二十八道府県で、道府県外に親が居住したままの越境入学を容認する高校があるとの、入試制度についての調査結果を公表した。
 秋田、福井、鹿児島など十県では、すべての学校で県外から受験が可能。多くは「五人以内」「募集定員の5%以内」など制限を設けていた。残る十八道府県は、一部学校のみ県外生徒を受け入れていた。検討会は「越境を容認している県は多くが過疎問題を抱える」などと分析。今後、他県の例を詳しく調べ、県内入試制度の参考にしていくことを決めた。