太平洋戦争の口火を切った真珠湾攻撃で戦死した高橋亮一さん=当時(19)=の遺品を並べた終戦記念展「飛行兵と戦争」が二十五日、長浜市浅井歴史民俗資料館で始まった。戦地から帰らなかった若者の記憶と思いが詰まった三十二点の「もの言わぬ証人」から、戦争の現実を問い直す。
 高橋さんは現在の同市内保町出身。生前に父を亡くし、母政栄さんの一人息子として大切に育てられた。虎姫中学校(現虎姫高校)を中退、志願して海軍航空隊に入隊した。
 米ハワイの真珠湾攻撃では、空母「蒼龍(そうりゅう)」から艦上爆撃機で出撃したが被弾したため、敵の駆逐艦に突っ込んだ。真珠湾での戦勝による祝賀ムードの中、郷里では「村葬」が営まれ、高橋さんは周囲から軍神のようにあがめられた。
 一方、遺された政栄さんは深い悲しみを押し殺し、二〇〇三年に百一歳で亡くなるまで高橋さんのことを一切語らなかったという。ただ、出撃前に残した遺書や学生時代の成績表、海軍の教本、文机、高橋さんからの手紙などは大切に保管していた。
 今回展示したのは、政栄さんの死後に遺族が県平和祈念館(東近江市)に寄贈や寄託した遺品の一部二十七点と、高橋さんの写真パネルなど。生き生きとした表情の写真や、丁寧に書かれた遺書の対比が胸に迫る。
 企画を担当した浅井歴史民俗資料館職員の冨岡有美子さんは「若くして亡くなった命と、気丈に振る舞わざるを得なかった母の心情に触れ、平和に思いをはせてほしい」と話している。
 九月三日まで。月曜休館。入館料大人三百円、小中学生百五十円。八月十日には、陸軍で特攻隊の訓練を受けた同市石田町の若林良太郎さん(91)の講座と、展示説明会(受講料五百円)がある。(問)浅井歴史民俗資料館=0749(74)0101

 (鈴木智重)