伊賀市立上野総合市民病院医療チームによるがん治療に関する論文が世界的な英国科学雑誌の電子版「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。抗がん剤などで治療中の患者が魚油成分(EPA=エイコサペンタエン酸、DHA=ドコサヘキサエン酸)を含む市販の栄養剤を毎日摂取したところ、治療効果が上がったとする内容。生存率向上にもつながるという。
 病院によると、二〇一一年四月から一四年四月にかけて、三十代から八十代の消化器系がん患者百二十八人(主にステージ2〜4)のうち、この栄養剤(二百四十ミリリットル)を摂取した三十七人と、しなかった九十一人を比較した。
 摂取量は最低六カ月以上にわたり一日一〜二本。摂取した人は体力が回復し、平均で約八十日長く抗がん剤治療を継続できた(三八八・八日)。しなかった人の治療継続期間は平均三百八日だった。摂取の有無は患者の希望による。
 がん悪液質の患者でも栄養剤を摂取した人の生存率が向上したという。がん悪液質とは、がん進行とともに食欲不振、体重と筋肉量が減少。抗がん剤が効きにくく副作用が強く出て、積極的な治療継続が困難な状態。
 市民病院の三木誓雄院長は「魚油に含まれるEPA、DHAはがんによる炎症を抑えるとされている。それが薬の効きと副作用軽減に関係したとみられる」と説明する。
 論文執筆は、市民病院「がんサポート・免疫栄養療法センター」の医療チーム。交流のある英国グラスゴー大医学部教授らの助言を受けた。
 三木院長らメンバーが二十六日、市役所で会見し、「当院が得た臨床結果は国外においても発表されておらず、先駆的ながん医療モデルを世界へ発信したい」と意気込んだ。
 論文は電子版に六日から公開されている。
 (沢田一朗)