オランダで九月から十一月にかけて開かれる「現代日本漆芸展」(仮称)で、国の重要無形文化財指定の答申を受けた越前和紙「越前鳥の子紙」を使って両国民の祈りや願いを作品として表現する企画が進められている。日本側の責任者を務める東京芸術大の三田村有純・名誉教授(67)やオランダ人のバンゴンペル・デイフさん(33)らが二十八日、越前市新在家町の越前和紙の里「パピルス館」を訪れ、越前和紙関係者に協力を呼び掛けた。
 越前鳥の子紙は、十七世紀のオランダの画家レンブラントが版画などに使用していた可能性が高いとされる。三田村名誉教授らは、江戸時代に長崎の出島からレンブラントに鳥の子紙が渡った記録や越前和紙の歴史などについて県和紙工業協同組合の石川浩理事長(55)らから説明を受けた。
 鳥の子紙は滑らかな表面で版画に適している点を知るため、レンブラント作品を鳥の子紙と欧州の紙で違いを見た。鳥の子紙には細かな線なども忠実に写し出され、三田村名誉教授は「レンブラントが選ぶのも当然」と驚いた。
 富山県の受験生や家族が桜の花びらをかたどった紙に願いを書き、桜の木の枝などが描かれた越前和紙に貼り付ける「希望の桜」をオランダでも実施。ふすま紙サイズの鳥の子紙に漆芸作家でもある三田村名誉教授が漆絵で桜の木を描く。桜の下にはオランダを象徴するチューリップも描き、花の部分にメッセージを書いてもらうことも検討している。現代日本漆芸展はオランダ・ライデンの日本博物館「シーボルトハウス」であり、鯖江市の日展作家森田清照さんら全国の漆芸作家十一人が出品する。
 (山内道朗)