高知県四万十町の四万十川で、甲賀市教育委員会主催の野外キャンプに参加した同市信楽小学校の女子児童二人が水死した事故から、三十一日で十年。当時の同級生たちが成人する中、遺族たちは今も気持ちの整理が付かないまま、二度と事故が繰り返されないよう願っている。
◆遺族今も自問自答
 六年生だった長女の沙紀さん=当時(11)=を亡くした美馬崇宏さん(49)は「毎日の生活の中で絶えず、沙紀がおったらなあ、おったらなあ、って考える」と話す。「ライフジャケットを着るよう言い聞かせていれば」などと、いまだに自分を責めることも多いという。
 沙紀さんとキャンプに初めて一緒に行くことになった次女は出発の日、「行きたくない」と泣いた。現在は短大の二年生で、保育士を志している。次女は多くを語らないが、美馬さんは「子どもの命を預かる大変さを身をもって知っているはずなのに、あえて選ぶなんて」と強さに驚く。
 五年生だった長女の真衣さん=当時(10)=を亡くした藤田正直さん(54)も「なんでああなったんやろな、もっと泳げたら良かったのにな」と、自問自答を繰り返す。
 毎年この時期、同級生たちがお参りに来て近況報告をしてくれることで、気持ちが少し穏やかになるという。「社会の中で自立していくのは大変。真衣の分までというわけではないが、頑張ってほしい」と願う。
 二人とも声をそろえて訴えるのは、徹底した安全管理のもとでの野外活動の継続だ。「野外活動は子どもたちにとって大事なこと。きちんと管理して続けてほしい」と美馬さん。藤田さんも「あんな大きな川で、たった一人の監視で泳がせたなんて、いまだに信じられない」とした上で、「自己判断できる子を育てることも大事だが、誰かがリスクに気付けば安全性は確保できるはず。一つでも悲しい事故を未然に防いでほしい」と話す。
◆31日に安全誓う集会
 甲賀市教委は、事故を教訓として安全への意識を高めようと「青少年活動安全誓いのつどい」を、三十一日午後七時から同市水口町のあいこうか市民ホールで開く。
 市が一年間の安全管理の取り組みを報告した後、日本野外教育学会の永吉宏英会長が「子どもたちの心豊かな成長を願って」と題して講演する。(問)市教委社会教育課=0748(86)8022
 (築山栄太郎)