国土交通省は三十一日、伊那市長谷の道の駅「南アルプスむら長谷」を拠点に、長谷地区で自動運転車を走行させる実証実験をすると発表した。高齢化が進む中山間地域で、人の行き来や物流の足として自動運転車を活用する狙いで、実験を通じて技術やビジネスモデルを確立させる。同市のほか、富山県南砺市、岡山県新見市など全国の八市町が公募で選ばれ、夏から秋にかけて実験する予定。
 同省の構想では、道の駅に自動運転車のステーションを設けて中山間地と結ぶ。スマートフォンなどで車を呼び出すシステムを構築し、将来的には住民が道の駅周辺の商店や医療機関、行政窓口に通うための生活の足とする。宅配物や農産物の運搬手段としても自動運転車を役立てていく考えだ。
 伊那市が同省に提案した実験は、道の駅と宿泊施設「仙流荘」を結ぶ六・九キロで、衛星利用測位システム(GPS)を活用してワゴンタイプの自動運転車を走らせる。また、道の駅から美和ダム沿いを通る一・二キロでは、路面に整備した電磁誘導線を認識して自動走行するカート型の車を用いる。景観を楽しめる観光の用途も想定した実験という。
 今後は行政、住民、自動車メーカーなどで地域実験協議会を設立し、何を運ぶのかなどの実験の詳しい内容や日程を検討する。
 同市では今年、小型無人機ドローンを使った物流実験も産官学連携で開始。白鳥孝市長は「自動運転サービスやドローンの活用は、中山間地域の維持や活力創造に必要不可欠。実験の成果が全国に波及することを願う」とコメントした。
 (岩田忠士)