脱皮して間もないズワイガニの雄「ミズガニ」の漁を巡り、福井県底曳網(そこびきあみ)漁業協会は本年度も同県沖で漁を継続する方針を固めた。今月下旬の役員会で正式決定する見通し。漁期を昨年度より十日少ない、これまでで最も短い三十日間に短縮。資源保護の観点から、自主禁漁に取り組む石川県と京都府の漁業者からの自粛要請に配慮しつつ、福井県内で人気を誇る庶民の味の存続を図る。一方、石川の漁業関係者からは漁期短縮効果に疑問を投げ掛ける声も聞かれる。(北原愛)
 ミズガニの昨年度の福井県内水揚げ量は七十六トンで、水揚げ高は一億二百万円。その九割以上を占める越前町漁協と三国港機船底曳網漁協は総会での投票や話し合いを通し、漁期を昨年度より十日間短縮して漁を継続することで組合員の意見がまとまった。ミズガニはシーズン終了間際になるにつれて身が詰まり、単価も高くなることなどから漁期は来年二月十九日〜三月二十日で調整している。
 県底曳網漁業協会の役員会での決定を受け、九月下旬にも開かれる「日本海ズワイガニ特別委員会」で提案する。漁業者の所得安定や福井の食文化への理解を求めるという。特別委は石川県から島根県までの日本海側の一府五県で構成。石川、京都以外の福井を含む四県がミズガニ漁の継続を提案するとみられる。
 鳥取、兵庫両県は昨年度より休漁日を増やし、出漁一回当たりの漁獲量の上限を厳しくするなど継続への道のりを模索。島根も昨年度の漁期をベースに継続を提案する方針で、担当者は「ミズガニは島根や鳥取でも『若松葉』として庶民に人気。急に漁をやめては民宿や料理店も困る」と話している。
資源保護 効果に疑問も
 石川県では、資源保護を目的に二〇一三年度から自主禁漁を続けている。県漁協によると、ズワイガニの資源の減少に配慮した「全国に先駆けた対応」だが、石川ではそもそもミズガニを食べる習慣があまりなく、「身が硬くなるまで待てば価格も高くなる」との考えも背景にある。
成長すればズワイ…
 禁漁前は県境を越えて操業する福井県側の漁船も多かったため、当初は両県の間に対立も懸念された。現在は福井側に石川沖での漁の自粛を要請しており、石川県水産課の担当者は「ある程度配慮してもらっている」と話す。
 福井側の漁期の短縮について、石川のある漁業関係者は「完全にやめるわけではないので、期間の短縮にどれだけの効果があるのかは分からない」と話した。 (中平雄大)