石川県から石川県議会の議員に渡された二〇一六年度の政務活動費(一人月額三十万円)の収支報告書が三十一日、公表された。交付総額は一億五千三十万円で、三十一人が使い切らず、二千九百五十一万四千九百四十二円(19・6%)を県に返納した。返納額、返納率とも収支報告書の公表が始まった一三年度分以降で最も高くなった。昨年、全国各地で次々と発覚した政活費不正が抑制につながったとみられる。(蓮野亜耶)
昨年度 個々の領収書公開
 今回の対象者は現職の四十一人と、同県能美市長に転身した井出敏朗元県議を含めた計四十二人。うち、議員三十人と井出氏が一部を返納した。返納者のうち、百万円以上を返納したのは十二人。支出が最も少なかったのは宮下正博氏(自民)で百十万一千五百一円。返納額は約二百五十万円だった。支出額が最も多かったのは下沢佳充氏(同)で三百九十九万三千七百九十八円。
 石川県議会でも昨年、家族同伴での川下りを交通費に計上するなど不適切な支出が相次いだ。県議会は不正防止のため、今回から収支報告書だけでなく、個々の議員の領収書の写しの一般公開を決めた。
 ただ、領収書のインターネット公開は見送り、今年からネット公開する富山県議会に比べて後れを取っている。
変わる「税金への認識」
 昨年、相次いで不適切な使用が発覚した政務活動費。県民から政治への厳しい視線が向けられる中、県議の意識も少しずつ変わってきている。
 「自分を含め、みんな足元を見直して税金への認識を深めたと思う」
 米沢賢司議長(自民)はそう話す。実際、今回の政活費の返納率は過去最高になった。米沢議長自身、前回分では県政報告会の会場代で事実と異なる日付などの領収書を添付したことを指摘されており、今回は、前回より約六十八万円支出が減った。
 ただ、議員の中では警戒心が広まり“疑わしきは計上しない”と自己負担とする傾向が生まれたという。「資産を持っている人じゃないと県議になろうと思わなくなるんじゃないか」と厳格化ゆえの弊害を懸念する。
 一期目の沖津千万人(ちまと)氏(自民)も「持ち出し分は大変」と話す。視察の際、一部行程で相手方への事前連絡がなかったため、議会事務局側から視察に当てはまるかどうか指摘され、全体を自己負担としたこともあったという。
 政務活動と政治活動の線引きが曖昧な事例も少なくなく、佐藤正幸氏(共産)は意見交換会の関係経費の計上を控えた。「税金を使っている。迷ったときは厳しいほうを選んでいる」と話す。
 組織的に取り組んだ会派もあり、公明党県本部は、党全体の取り組みとして、新たに公認会計士によるチェック体制を整えた。誤解を招かない利用へと意識は高まっているというが、谷内律夫氏は「議員活動が萎縮するようになるのは良くない」と懸念もしている。 (並木智子、蓮野亜耶)