太平洋戦争の戦没者の家族らでつくる浜松市遺族会と市戦災遺族会は、市内の戦争体験者の証言を収録した新たなDVDを作った。身内を失った悲しみや空襲の恐怖、戦闘からの生還−。市民生活が戦渦に巻き込まれていく経過をたどりつつ、それぞれの記憶を六十七分間の映像に紡いだ。
 DVDのタイトルは「浜松の未来の為に平和を語る!! 今、時を越えて甦(よみがえ)る」。市の戦争体験伝承事業の一環で遺族会が映像会社と製作し、約三十人が証言に協力した。
 二歳の時に父が出征して戻らなかった女性は「顔も声も温もりも全然覚えていません」と淡々と話す。乗っていた艦船が米軍の魚雷で撃沈された男性は「十メートルほどの高さの甲板から、船が沈むのに巻き込まれないようになるべく遠くに飛び込んだ」と語る。
 浜松近郊で航空機関係を中心に二万人超が軍需産業に従事し、米軍の攻撃対象となった記録も紹介。一九四五年六月十八日の浜松大空襲を経験した女性は、現在のJR浜松駅北の広小路通りに「焼け死んだ人たちが並べられていた。目が飛び出たり、下半身だけ焼けたり…」と振り返る。
 終戦後も中心部のアクトシティ浜松の建設現場やJR東海の工場で不発弾が見つかったことや、戦地で今も続く遺骨収集の取り組みも伝える。市遺族会の稲田定彦会長(72)は「戦争体験者は高齢化し、あと十年早ければもっと多くの貴重な証言が拾えたとの思いもある。生の声で悲惨さや命の大切さを伝えたい」と力を込める。
 DVDは二百枚を作成。十五日以降に中区の浜松復興記念館で一枚五百円で提供するほか、同日にアクトシティで市が開く戦没者追悼平和祈念式では三十分間の短縮版が上映される予定。
(久下悠一郎、写真も)